第24話 女性陣

一方の女性陣、光と莉緒。

時間は店を出てから少し経っていた。

某有名ファストファッション店で色々と物色を楽しんでいた。

「すごーい、こんなに服とか並んでるの初めて見た!」

「すごいっしょ!てか未来じゃあまりないの?」

「こういうのは通信販売になってますので、こういう大型店舗見ないですね。」

「すげー。良い時代だー。」

そう言いながら、とりあえず必要そうな下着や肌着などを数だけ揃えようとしていた。

ひとしきり必要そうなものを揃えた。


「こんなに買っちゃって大丈夫ですか・・・?」

「唯志が良いって言ってたし、良いっしょ。あいつ言ったことには責任を持つよ。」

「唯志さん、良い人ですね。お付き合いして長いんですか?」

「まだ1年経ってないくらいだよー。何?惚れた?あげないけど」

莉緒は笑いながら冗談を言っていた。

「別に盗ったりしないですよ」

光も笑いながら答えていた。

「でもなんだろう、頼りになる感じって言うんですか。いつもああなんですか?」

「そだね。いつもあんな感じ。退屈しないよ。」

「良いなぁ。完璧超人みたいな彼氏さんかー、羨ましい。」

光は目を輝かせながら言った。本当に羨ましく思っているらしい。

「いやいや、唯志全然完璧じゃないよ。」

「え?そうなんですか?でもタク君に聞いてる話と今日会った感じだとそう思いますけど。」

「どんな風に聞いたの?」

と莉緒は少しはにかみながら聞き返した。

「交友関係広くて、友達多くて、リーダー的存在で、基本一人で何でもできて・・・って感じです。」

と光は答えた。

これは拓哉から見た唯志のイメージだ。

あまり良く言わない様に、少し下げ気味で言っているが。

「あー、だいぶ誤解してるねー。付き合いは長いんだろうけど、全然わかってない。」

「そうなんですか!?私もそんな感じに感じましたけど」

「そうそう。まぁそのうち分かるかも」

莉緒は笑っていた。

「でも頼りにはなるから、安心して頼ったら良いよ。頼られたら断らないからあいつ。」

「莉緒さんは唯志さんのことよくわかってるんですね。」

「だから莉緒で良いって。それか可愛くりおちーとかでも良いよ」


そうこう言っている間に会計まで済ませていた。

ICカードの使い方は先ほどコンビニでレクチャーした。

コンビニも某ファストファッション店も居酒屋のすぐ外にあったから助かった。

いや、恐らく唯志はここまで考えて場所を選んだんだろう。

莉緒は改めて唯志気が利くなーと思っていた。


「んじゃー次は少しオシャレなのでも買いますか」

莉緒が言った。

「ええ?もう十分ですよ。こんなに買ってもらって。」

光はぶんぶんと首を振っていた。

「でも女の子だしオシャレしたいじゃん?」

確かに光にもそういう感情はあるが・・・

「それはまた、自分で稼げるようになったら考えますよ。」

「えー、今の内なら唯志の奢りで買えるのに―。まぁタク君におねだりしたら良いか。」

何か莉緒は一人で納得して頷いていた。


そして二人は某コーヒーチェーンに一休みしに来ていた。

多少歩き疲れたのもあるが、せっかくなので女子2人だけでゆっくり話しておこうとなったのだ。

スマホの使い方も少しずつ伝授していた。

その合間で唯志との馴れ初めなどを聞かれ、答えていた。

光はふんふん言いながら目を輝かせていた。

女子というのは本当にこの手の話が好きだ。

話される男側はたまったものじゃないのだが。

幸い唯志はこの手の話をされるのを嫌がるタイプではないので、莉緒も容赦なく話している。


「そういえば、ひかりんの方は?好きな男の人とかいなかったの?」

「うーん。昔良いなって思った人は何度かいましたけど・・・さっき話したように未来では恋愛意識って下がっていて・・・」

そう言えばそんな話もあったな、と今頃莉緒は思い出していた。

「もちろん積極的な女子も男子もいるんですけど、学校内でも1,2を争うような美男美女に群がるのが普通なもので・・・」

「それ以外の人は基本何もしないスタンスってこと?」

「そういうことです。苦労しなくても結婚できる世の中ですから。事なかれってことです。」

「つまんないね、それ。唯志は感心してたけど、私は反対だなー」

莉緒は若干憤慨していた。

だが、光から未来の結婚観の現状を聞くうちに、次第に時代の流れだからしょうがないのかと納得した。

正直なところ、自分は生きてないであろう時代の結婚観なんてなんでも良いかって思ったのもあるが。


その後もしばらくの間、女子トークが続いた。

主に現代と未来の違いを莉緒からレクチャーされたようだ。

それと、万が一拓哉に襲われたりした時のために、連絡方法と逃げる方法など、相談していた。

光はいらぬ心配だと言っていたが、念のためというやつだ。

男ってのは草食系ですよ顔をしておいて、隙あらばって輩が多いのは莉緒も良く知っている。

だから万全を期すに越したことはない。


そうやっておしゃべりをしながら休憩していたら莉緒のスマホが鳴った。

唯志からだった。

何やらこの場所を告げている。

通話が終わったようで、莉緒が光に話しかけた。

「なんかあっち店出たって。この辺来るから合流して違う店行こってさ。」

どうやら一旦合流する様だ。

一通りの最低限の買い物は済ませたことだし、合流して話し合いの続きをするべく

女子2人は店を出た。

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