第4話 魔の森での出会い

 ラッセル王国から、迷宮都市が存在する商業国家ギランまでは、東の森を突っ切れば一週間の距離で抜けられる。

 もちろん、整備されている街道を移動すれば商業国家ギランまでは、早く抜けられる。

だけど、それだと私がギランの方へ移動した事がバレてしまうので利用はできない。


 ――そんな事で、絶賛! 戦闘中です!


 上空から飛来してくるワイバーン。

 大きさは、馬の10倍はある。

 それらを私のトルネードが切り刻みバラバラにする。


 さらに樹上から落ちてくるスライムをファイ―ウォールの壁で塞ぎつつ、炎の壁を広げていき、森林を焼かずに、殺到してくるモンスターだけを焼き尽くす。

 もちろん、バラバラに切り刻んだワイバーンは、あとで売る為にアイテムボックスへ入れておく。


「お城で、大規模な討伐隊を組まないと東の森は超えられないって言っていたけど……、本当なのね」


 もう既に倒した魔物の数は1000匹を優に超える。

 東の森に入ってから、まだ3時間程度しか経過していなのに。


「夜とかどうしよう」


 人間は睡眠時間をとらないと、生きていけないので、数日とかなら何とかなるかも知れないけど、それでも常時、気を張っておくのは辛い。


「結界を張ろうかしら……。でも、さすがに聖属性の魔法は感知されてしまうわよね」


 信仰心に篤い人物だけが使える神聖魔法。

 それは、研鑽をつめば使う事は出来る。

 でも、聖属性の結界――、とくに魔物を寄せ付けない程のモノとなると使える者は国でも指を数えるくらい。

 つまり、結界を東の森で張ったら、私の居場所がラッセル王国側に分かってしまう可能性がある。

 そうなると、私のことを邪魔だと思っているお父様が暗殺者を差し向けてくるかもしれない。


「返り討ちに出来なくはないけど……」


 さすがに四六時中、暗殺される可能性があるのか避けたい。

 それに、国境を超えれば、暗殺者を送るのも容易ではないと思うから、やっぱり結界魔法は使えない。


「不眠不休で頑張るしかないのかな……」


 私はポツリと呟き溜息をつきながら――「ファイアーボール!」と、魔法を発動し近づいてきていた2メートルもある蝙蝠の大軍を吹き飛ばす。


 それから、森の中を歩くこと数時間。

 ヒールを使い体力を回復させながら移動していた事もあって、それなりに距離を稼ぐことができた。


「はぁー。冷たくて気持ち良いわね」


 私は、森の中で見つけた川の中に足を入れて、涼んでいると前方の茂みがガサッと揺れた。

 もちろん、その頃には既に魔法は放っている。

 電撃魔法サンダーボルド。

 狙いは外さず――、「ぎゃああああああああ」と、言う声が聞こえてきた。


「あ、あれ?」


 私は立ち上がり、茂みの中をみると、そこにはボロボロの恰好をしてはいたけど、大剣――、クレイモアを背負った赤髪ポニーテールの、私と同じくらいの年の女性が倒れていた。





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