最終章~要&那智~

 澪。


 今だから、話そう。


 私はお前と比べられるのが怖かった。


 嫌だった。


 並べられそうでつらかった。


 両親に似て甘いお前が大嫌いだった。


 いい子ぶっているお前が気にくわなかった。

 

 だがな。


 いくら、説得しても俺の考えはかわらない。

 

 変える気はない。

 

 自分の道は自分で切り開く。

 

 いつか、私は復活してみせる。

 

 どっちにしろ、お前の人生はお前のものだ。

 

 好きにすればいい。

 

 私からは以上だ

 

              本橋要

 

 

 





澪。

 

 私たちの道はどこですれ違ったのだろうな。

 

 いつか、対等になり居場所を奪われるのではないかと怖かった。


 だから、要に依存してしまった。

 

 身体を許してしまった。


 自分の意見を言うことができなかった。


 私が一言やめろ、と言えば要の暴走をとめることができたのかもしれない。


 そうすれば、正様も優理様も死ぬことはなかった。


 澪が傷つくこともなかった。


 要の情に流されて私の判断が甘かったせいだ。


 すまない。


 まぁ、今更謝ったところでお前に届くことはないが。

 

できれば、関係を修復したい。


 小さい頃のように笑いあいたい。


 一緒に遊びたい。


 これも、叶わぬ夢となってしまったな。


 なぁ、澪。


 私はお前に問いたい。


 お前は今、幸せか?


 夢を見られているか?


 未来を信じているか?


              菊地那智


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る