My Dear Rose...
うみのも くず
Prolog
野に咲く花のように、強くその場に咲き誇る。その土に囚われたまま、抵抗すら許されない。
水を与えられ、太陽を照らされ続ける。
肥料を与えられ、同じ空を見続ける。
けれど、懸命に咲く花も同じ。そこに理由は無く、ただ生きているだけだ。人に踏まれても、その美しい姿を絶やすことなく輝かせている。
私は醜い人間だ。けれど今日も着飾って花になる。天高く自由に飛ぶ鳥に憧れを抱いても、私は鳥になれない。きっと、新しい世界を知らないまま実をつけて、何も知ることなく枯れてゆくのだろう。
そんな私にある日、暖かな光が照らされた。貴方は影に咲く私を見つけてくれた。そして受け入れてくれた。世界のことを、何気ない話を聞いてくれた。限られる時の中で、貴方と会う時間がかけがえのないものだった。
貴方の笑顔を見る度に、私の枯れた心が潤った。貴方の為ならば可憐に咲くのも悪くない。このまま枯れてしまうくらいなら、貴方と共に最期まで咲きたいと思った。
「ありがとう…」
最期に見たのが貴方で良かった。私は、生まれ変わったら、鳥になりたい。羽を広げてどこまでも自由に飛んでいく。例え花のままだとしても、次に芽吹いたその時は、きっと…。
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