#2 青の剥げた灰色の春

 織崎おりさき紬実つむみ、高校二年生。

 小学校時代からのしっかり者で、今のクラスでは学級委員長。

 中学時代は吹奏楽部のパートリーダーで、今は文化祭運営委員として大忙し。

 教師からも友人からも信頼厚く、彼氏は学業もスポーツも優秀な人気者。


 輝かしい青春を保証するような色とりどりの背景、そうだと自分でも思っていたのだが。


 初夏の爽やかな日射しが降る教室で。


「――もういい加減にしろってんだよ!!」


 色とりどりの背景に押し潰されて、私は派手に壊れた。


 喉から飛び出したのは、押し込めてきた叫び。

 それから、私の命を支えてくれるはずだった食物、が消化された苦いの。


 青春が剥げて、灰色の正体が牙を剥く、それを決定的に思い知った日だった。

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