第10話 Live2dモデル
2週間が経った。
ついに俺のVtuberのLive2dモデルが完成したらしく、千冬さんに貸してもらっているPCにそのデータが届いた。
そしてこれから、千冬さんとそれを見るところである。
「ついに届いたね!」
「それじゃ、見てみましょうか」
千冬さんも楽しみにしてくれていたようで、俺以上に興奮を抑えられていないようだった。
俺は早速、PCを起動し、送られてきたデータを開く。
「「おお~」」
そこには、うさ耳で兎野ウサと同じ水色の髪をした中性的な顔立ちをした男の子のキャラが映っていた。その子は、少し大きめのダボっとしたパーカーを着ていて、それが凄く似合っていた。
これが、Vtuberとしての俺……なんだよね?
俺は感動していた。
「凄い……」
その一言しか出てこない。
よく見ると、そのデータにはVtuber名も記載されていた。
【
おお~!
名前、かっこいい!
可愛らしい見た目に反して、カッコいい名前! これは、ギャップ萌えじゃん! ……って、他人事ひとごとみたいに言ってるけど、これから、このキャラは俺が使用していくんだった。言わば、俺のもう1つの体ってことだ。
あ、そうだ。
千冬さんにも感想聞かなきゃ。
「千冬さん、どう思いますって、ええっ! なんで泣いてるんですか!?」
感想を求めようとしたら、千冬さんが【兎野レオ】の容姿をみて涙していた。
「だ、だってぇ、予想以上に素晴らしくてぇ、それに苗字が一緒なのは姉弟設定だから当たり前だけど、それでも実際に目にすると感動しちゃってぇ~」
「あはは、そういうことだったんですね。俺も今、めっちゃ感動してます! これ、凄いですよね。それに、【兎野ウサ】と似てますよね?」
「あ、それはね、イラストレーターさんが同じだからだよ~。同じイラストレーターさんにお願いしたんだって」
「す、すごい! そういうこともあるんですね!」
「うん。でも、珍しいかもね」
姉弟設定だし、同じイラストレーターさんがやってくれたのは、最高過ぎない?
Live2dモデルも届いたし、俺のデビューまでそう遠くないだろう。
「なんか、緊張してきました」
「まあ、そうだよね。バーチャライブもそろそろ、【兎野レオ】のYooTubeチャンネルを開設してくれると思うよ。早ければ、今日中には開設されるんじゃないかな」
【兎野レオ】というキャラクターに感動した後、バーチャライブの方からLive2dモデルが正常に動くか確認してほしいとメールが来ていたので、千冬さんに教えてもらいながら【兎野レオ】を画面に映し、動かしてみた。
凄い……!
俺が動くと、画面上の兎野レオをも同じ動きをする。
当り前だけど、凄い!
これから、このキャラクターを使って、活動していくことになるんだなあ。
少し実感が湧いてきた。
「あ、そうだ」
突然、千冬さんが何かを思いついたようだ。
1つ、お願いをしてくる。
「配信の時とかは、私のことウサ
「確かにそうですね! わかりました、ウサ姉」
「きゅんっ!」
きゅん……?
それ、口に出して言うものなのか?
「あ、それと、敬語も無しね。これは、配信とか関係なしで」
「ええっ、わかりました」
「んん?」
「あ、わかったよ」
「それでよし!」
その日は、千冬さんに色々と教えてもらっているうちに時間があっという間に過ぎていった。
俺は、ずっと上機嫌だったと思う。だって、こんな経験、今までしたことないんだから仕方ないでしょ?
「雪ちゃんと六華ちゃんにも見せてあげたら?」
「そうで、そうだね」
「今、敬語使いそうになったね」
俺は、雪さんと六華に【兎野レオ】のLive2dモデルのデータを送った。
すると、2人とも爆速で返信を返してきた。
「早っ!」
雪さんと六華の両方から『可愛すぎる!』と返信がきた。
俺も同意見だ。やっぱり、みんな可愛いと思ってくれてるみたいだ。
うん。
でも、俺、男なんだよね。
まあ、この世界だとそういうキャラの方が人気出やすいかもしれないね! よくわからないけど。
「それじゃ、今日は弟のために夕飯を豪勢にしちゃおっかな!」
「ありがとう、ウサ姉!」
千冬さんは、すっかりお姉ちゃん気分のようだ。
そういう俺も、すっかり弟気分なんだけどね。
この日、千冬さんは俺のためにハンバーグや唐揚げなど、俺の好きな料理ばかりを作ってくれた。
これはもう、最高のお姉ちゃんだな!
バーチャライブは早くも、【兎野レオ】のYooTubeチャンネルとトリッターのアカウントを開設したのだった。
そして、【兎野レオ】のYooTubeチャンネルとトリッターのアカウントは、デビュー前にも関わらず、爆発的に伸びることとなる。
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