ボヘミアン・ラプソディ ー18.12.2.

監督:ブライアン・シンガー



「本当の自分の価値」

過去は見ない。未来だけを見る。

そんなセリフがあったと思う。

フレディは己の出生やまつわる偏見、性的マイノリティーという立場を払拭するため、新しい自分を自らの手で音楽と共に作り上げた。

なりたい自分になる。

あくなき欲望は、あくなき自己否定だ。

つけいれられ、上昇しているつもりが奈落の底へ落ちているのだと理解してからの切なさがたまらない。

家族も、仲間も、誰もフレディ―自身がなりたい自分になることを手伝えはしないが、でないフレディーだろうと寄り添うことはでき、このすれ違いも悲しかった。


素の自分にも価値はある。

なぜなら、人は自分以外にはなれない。

気づくまでの遠く切なく、激しい物語だった。



楽曲はよく知るも、歌う本人についてはあまり興味を持っていなかった。

米のトップスターは日本のそれとはケタが違うため、

孤独や重圧や、ヒットした時の周囲の反応の大きさがどんなものなのか、なかなか想像しづらい。

ただ同時に想起するのがマイケルジャクソンにホイットニーヒューストンや、ブリトニースピアーズもそうだし、マライアキャリーもだ。必ず一度、自身を見失うような時期があったろいうことで、なんだかかなりスゴそうというイメージだろう。

そうしたストレスの中での人間の振る舞いの、振れ幅の大きさが本作の見どころで、想像では追い切れない部分を明かそうとするからこそ見ごたえがある。

実話ベース、伝記ものならではだなぁと思う。

そういえばあまりウェブ小説で主人公の一生を追ったものを見かけない。

そういう書き方は案外、穴場なのでは? とふと思った。

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