TENET テネット ー20.10.1.
監督:クリストファー・ノーラン
「新型タイムトラベルSF!」
未来を救うため、過去を変える。
過去へ戻ってもう一度やり直す。
かつて幾つも「時間」をギミックにした作品はあれども、
結局、主人公たちの時間は正転するしかなかった。
だがこの作品は違う。
前を向いて時間の中をさかのぼってゆくのだ。
つまり、遡る本人から見た世界は「逆転」
さかのぼってくる当人を、外から見ればその人物の動きが「逆転」
という、摩訶不思議な二つの視点で構成されているのだ。
このベクトルの違いが作品の少々難解なところであり
ハイライト、面白味となっている。
インセプションも、ある一点に向かい全員が一斉に動き出すダイナミックな展開がたまらなかったが、こちらもある一瞬へと全員が収れんしてゆくスリルがたまらなかった。
時間を逆行する以上、結果を先に目の当たりとし、後に原因を知ることで受ける衝撃もジワリ、重い。その精密さはインセプションと変わらず、一度で全てを観切ることは難しのでは? と思うほど。
なんだかとにかくあり得ない、ンなわけない、オカシイのだが、
ありそうで、かもしれず、起きそうな本作は、
万人受けとは言い難いマニアックさにまみれているが、
類を見ないがゆえ今後も語られることになりそうな名作だろう。
そして今回も思うに、ノーラン監督のロケ地選びはセンスがいい。
あと楽曲も絶対、正転、逆転の両方がかかっていると思ったのだが、どうだ?
追記
この映画はもしかすると「フィルムの編集作業」そのものを落とし込んでいるのかもしれないと感じた。
編集マンの時間軸は常に正転だが、作業に合わせてフィルムは適宜、巻き戻すこととなり、逆転させて目的の地点へ向かいつつ作業を行うその立場は、ちょうど主人公たちと重ならないか。
その編集マンが劇中のどこにいるのかを想像すれば、壮大な全体像が見えてくる気が「してきた」!
満を持して、気合を入れて、鑑賞。
分りたくて何度も鑑賞する方がおられるようだが、
正直、半分ほどしか面白味も、トリックも理解できていないだろうがお腹いっぱいで、立て続けにはちょっと無理だった。
というか初見のインパクトがスゴ過ぎて、これ以上何を知れと、と言う気もする。
ノーラン監督の数学的な物語の作り方は嫌いじゃない。
そもそも前面に打ち出し作家のカラーにした監督を他に知らないので、個性として打ち出すべきだとも思える。
(とはいえ監督業は基本、論理思考マシマシでないと、感覚では絶対無理だが)
そしてモノカキのプロにも案外理数系は多く、医者もその代表。ついでに音楽を嗜む、音楽関係者も多いハズ。そして音楽は案外、理系分野だ。
両方に共通しているのは数トラックを同時に理論的に扱う分野ということかな、と考えたりしている。
これは思うに、物語のプロット立てに欠かせず、その辺りと関係しているのではないかとも思うのである。
文系だから文系が得意。理系は苦手は正直、眉唾と本作を見ても思わずにおれない。
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