6月16日 冷凍パスタとシウマイ

 ヴィーガンの生活から一週間が経てば、肉類はある程度摂取できる体質に戻った。

 ただ自ら調理をして、というところは中々上手くいかない。

 憐れみというよりも、面倒くささだ。


 普段は鶏肉を調理するけれど、まずカンピロバクター対策に薄いビニルの手袋を嵌める。

 むね肉は調理の半日前に一口大に切ったらニンニク醤油で揉んで放置。

 レバーは血抜きをしてから、臭み取りと流水と酒の漬け込みを計二時間。

 自分からひき肉を買わずにミンチにするのだから、とにかく手間がかかる。


 その分美味しく作れるのだから、結果的には良い方には向かっているが、ただレバーの血抜きについては「普通そこまでやるか?」と思い浮かんだ。

 普通に世間一般でそこまでやるなら許してほしいけれど、ともかく労力がかかる。唐揚げもそう。


 鳥チリを調理したのは、ノリで肉を買った、という強制力に過ぎない。肉料理を作ろうにも気が向かなかったのだから、今週から肉類は総菜から取り寄せることにしていた。

 勤務先からの帰宅途中、普段は立ち寄らない駅で降り、そこにあったらしいスーパーに足を運ぶ。退勤時間丁度に変えれば、地理的にタイミングよく値引きをしている。値引きする店員と目が合った。彼はシールを貼りそうで貼らない振りをした。気持ちは分かるが店的に困るのでやめてほしい。


 運よくそこで半額になっていたシウマイを手に取り、冷凍食品売り場で見つけた冷凍パスタも手に取る。ボリュームアップの360gと銘打つ。勿論シウマイで足りる訳がない。それも買い物かごに入れた。


 それ以降の食事情は思い出せないので割愛


 結果として、肉類とパスタを摂取出来た。

 加えて先日作り置きした鳥チリ、白米一合と納豆。食べてもまだ食べられるのは、植物性食品の良いところだろう。

 食べても満腹にならない意味では悪しき点だが、重さとしてこれだけ摂取した、という意味では美点だ。

 美点と感じるのは、それらが冷蔵庫に所狭しと詰めていたから。美味しく在庫を掃けた時点で、夕餉は非常に充実していた。シウマイは豚の味がして美味しかった。豚は一人暮らしには贅沢だから豚は豚以上の誉め言葉が思い浮かばない。とにかく、豪勢な食事だった。


 ただ、やっぱり性だろうか。何を書こうにも食事のことしか書けない。

 レトルトだろうが何だろうが、体調の良い時はなんだって美味しく思える。食欲も、好きだった食べ物も食べられないのなら、それは参っている。

 生きる為に食事をするのだから、それを受け付けないのは生きるのに否定的……というのはやや過激だが、あまり間違ってはないと実感している。偏食を極めていた頃は、何一つ心身ともに健康ではない。半額の惣菜や、通常価格のカップ麺がどうしても高級品に見えて仕方なかった頃と比べれば、今のはマシな精神と思いたい。


 とはいえ、過程を省いてくれるなら高級品だろう。こうして、今ここで家事に煩雑さを感じている人間の手間暇を楽にしている。なんでも満遍なくは理想だが、こういう好き勝手食べるのは今の特権かもしれない。


 仕事は順調だけど、まだ完成じゃない。それどころか完成の直前でミスが見えた、今週末までに、気合いを入れよう。成し遂げたあとのワインカクテルは、きっと美味しい。

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