第3話 色々な仕事があります。

「おぉー!」


掲示板は近くで見るとその大きさがわかる。

さすが、「妖精さんからドラゴンさんまで」というスローガンを掲げるほどの「何でも屋」なだけある。

黒板の大きさが板チョコのように感じられるほど、掲示板は大きかった。1番上が見えないのだ。それほどまでに大きな掲示板にびっしりと依頼内容のメモが貼られているのだから、少なくとも仕事に困るということはないだろう。一安心だ。

従業員の妖精さんがパタパタと掲示板をあちこち回りながら、メモを貼ったり剥がしたりと忙しそうだ。

僕も早く依頼を決めてしまおう。なぜなら、僕のすぐ横をドスンドスンとドラゴンさんが歩いていて、気をつけられているのは分かるのだが、なんとなく「踏まれそうで怖い」と考えてしまうのだ。そのくらいここは、モンスターで密集しているのだ。



さっきお姉さんが言っていたな。

「掲示板には様々な括りがありますので、依頼を探す際にはご活用ください。」って。

それがこれか。


・家庭関係!子供大好きな方はぜひ!

・力仕事!力に自信があるやつ待ってるぜ!

・事務仕事。優秀な方お待ちしています。

・護衛全般!危険だがお金は入る!急募!

……などなど


このように掲示板を縦に複数の区分ごとに分けているから、自分が求める依頼内容の場所がよくわかる。



僕は魔法を少しできるし、細々とした作業は苦にならないから「家庭関係!…」と「事務仕事。…」をメインに見てみよう。今は13時だから受注できる仕事は気をつけないとな。


「えっと、なになに?

・私が買い物に行っている間の子守をお願いします。子供2匹。種族はスライム。

気をつけてほしいことは、家具を食べたりすることがないように注意。

仕事時間10時〜15時…。

あぁ〜。これは時間が過ぎてる。ていうか、

このメモが残っているということは受注されなかったのか。

…なるほど。給料が安いからか。5時間で4000ストーンか。仕方がないな。」



モンスターの社会では、月収が35万ストーンが平均収入だと言われている。そして、12ヶ月分だから約420万ストーンが平均的な年収である。

ダンジョンマスターは、平均年収が600万ストーンであることから、比較的人気の職業であると言えるだろうね。



「あっ!これいいじゃん!」



そこには、

・護衛任務!だけど人間との戦い参加不要!

・怪我をした方を馬車内で治療できる方!

(ドラゴン族の方はスモールドラゴン族以外は不可、サイズ関係のため)

・ダンベルの街からレップスの街まで

・日程見積もり:5日間

1日あたり1万ストーンの給金。

(5日を超過する場合は、1日ごとに1万ストーン支給)

・旅の食事は支給いたします。

・詳しくは受付まで。そちらで詳細をお伝えします。



僕はこれから魔王領の王都に向かうわけだからその方向に行く馬車に同行できるのは嬉しいことだ。それに、給金と食事までついてくるのだから。



このメモを見つけられてよかったよ。

じゃあ、受付まで行ってこようかな。

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