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「のじゃのじゃらんらん、のじゃらんらん」
あ、そーれ。
「のじゃのじゃらんらん、のじゃらんらん」
もいっちょ! じゃないよ、というかこのリズム頭から離れなくなってしまったぁ!!!!
何を隠そう! のじゃらんらん!!!!
なんだろう、心が浮き足立つみたいな。それはさておき、鸞子のやつ、やけに機嫌がいいな。さっきぶち込まれたタコ焼きで唇がヒリヒリする僕のことは気にも留めないように。
結局、花火の時間になってしまった。
見上げると無数の花火が夜空を彩り、その場にいる人々を魅了していた。当然、僕もモブらしく空を見上げているわけで。
「綺麗なのじゃぁ。……そうなのじゃ。木下、お主は卒業した後の進路とか、ちゃんと考えておるのか?」
「ん? まぁ。普通に就職して紗凪と暮らすつもりだけれど?」
「のじゃぁ、そうか」
あれ? これで話は終わり? 人に聞いておいて自分のことは語らないとは。
「ここは隣町だが、我はこの地元が好きじゃ。それといった遊び場もなければ、特産品もない。あるのは昔ながらの駄菓子屋と古びて寂れた商店街と唯一の大型ショッピングモールのみなのじゃ」
「夢咲のことか? まぁ、僕も地元は嫌いじゃないかな。何だぁ、花火見て感傷に耽るとか似合わないぜ?」
「のじゃらっしゃい! よ、余計なお世話なのじゃ! ふん」
「……また、皆んなで来ような、鸞子」
「……おうなのじゃ!」
全く、子供みたいに笑う奴だ。けれども、なんだかんだで頼りになる生徒会長さんなのは間違いないよな。と、そんな思考を巡らせていると、向こうから紗凪の声がしてきた。やっと合流出来たな。
「木下?」
「何だ鸞子?」
「のじゃ、な、何でもないのじゃ。ほら、さっさと合流するのじゃ、置いて行くぞ?」
「あ、待てよ座敷わらし〜」
「だーれが座敷わらしなのじゃ!」
その後、彼女が紗凪に捕獲されたのは、もはや言うまでもないだろう。
こうして僕たちの夏休みは終わり、二学期という憂鬱な日々がやって来るのであった。
順風満帆だと思われた
シスターカスタム
前編 完
これより、後編 開始
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