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服に着られているとは、このことを言うのだろう。今僕の前で、この上ないほどのドヤオーラを放ちながら、テクテク、ちんまりと歩く幼女とは。
何を隠そう、生徒会長だ。
「鸞子って、暇なのか?」
「のじゃらぱ!? そ、そんなことないのじゃ! お、おお、お主から、よ、よよよ、呼び出しておきながら、何たる言い草なのじゃ! けけ、けしからんやつめっ!」
確かに、田間鸞子を呼び出し、人目を気にしながら隣町の洋菓子店、kokonoe洋菓子店まで来たのは僕の提案だ。とはいえ鸞子を見ていると、何だかイジりたくなるというか、まぁ、そんなところだ。
因みにkokonoe洋菓子店の人気メニューは、シャロットという焼きプリンらしい。
紗凪にも買って帰ってあげよう。今日はネット配信のライブに夢中だろうし。その日を狙って鸞子と二人の時間を作ったわけだけれど。
さて、本題だな。
洋菓子店のイートスペースに対面で腰掛ける。
「鸞子、相談したいことがある」
「なっ!? ちょ、ちょっと待ってくれなのじゃ!? そ、そんないきなりっ……」
「まだ何も言っとらんよ」
「う、うむ……」ゴクリ
この幼女は何をそんなに緊張しているのだろうか。プルプルと、まるでチワワ、否、ハムスターの如く震える幼女。
「協力してほしいんだ」
「け、結婚!?」
「協力な」
「お、おう」と瞳を瞬かせる鸞子に僕は続けて要件を告げた。
「今、紗凪と金池と、あかりちゃんの間で色々とややこしいことが起きているんだ」
「三角関係か?」
「なっ、何故それを!?」
「そんなもの、見ればわかるのじゃ。あかりは金池にゾッコンなのじゃ。だがしかし、金池は心ここに在らず、なのじゃ」
恐らく紗凪のことを好きなのじゃろうな、と、的確に状況を当ててきた鸞子さま……
そうだ。鸞子は生徒会長になるほどの実力者。人を見る目も、頭の回転も、僕の比ではないということなのか! 堪らん! 堪らんぞ、鸞子!
「まさにその通りなんだ! だけれど、肝心な紗凪の気持ちがわからないんだよ。何度か聞き出そうとしたけれど答えてくれないしな。そこで」
「我の力をかりたい、と。なるほどなのじゃ、紗凪の意中の人を聞き出せば良いのじゃな。任せられたのじゃ。大船に乗ったつもりでいるのじゃ!」
ピンと平らな胸を張る幼女は、どう見ても大船ではなく小船だけれど、しかし快く引き受けてくれたのは正直助かる。
「ただし、条件があるのじゃ!」
条件、だとぉ?
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