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「はい、アーンして?」
「アーン……って、何でじゃーい!」
……知っての通り、僕の妹と生徒会長だ。
しかし驚くべき気に入りようである。紗凪が金池と仲が良いのは、金池が僕の幼なじみであるからで、それなりに長い年月を経ての今だと思っているけれど、この生徒会長はどうだ?
たった今初エンカウントしたとは思えない懐きっぷりである。これをあかりちゃんが知ったら、嫉妬の対象となるのではなかろうか。
あかりちゃんは中学で友達を作れずにひとりぼっちだった紗凪に、何度も、何度も、ずっと声をかけ続けてくれた。そのある意味で執拗なコンタクトに折れた紗凪は、やっとのことで友達を得たのだ。
「こ、こっちも、お、美味しいんだよ! はい、アーン」
「アーン……はむ。うむ、美味なのじゃ」
生徒会長、か。僕とは程遠い存在のはずなのだけれど、何故か僕に懐いている変わった女子。高校三年生とは思えない合法ロリな見た目は、一部のファンから熱烈な評価を得ているらしい。
いや待て、僕は何か見落としている。
何故だ。何故、鸞子は知っているのだろう。
「なぁ鸞子」
「ひゃ、ひゃいっ!」
ひゃいって何だよ。
「僕と紗凪が兄妹だってこと、はじめから知っていた風だけれど、鸞子に話したことあったっけ?」
「そそ、それはあれなのじゃ、せ、生徒会長は何でも知っているのじゃ!」
そういうものなのか?
「紗凪、また取りに行くのじゃ!」
「うん、ら、鸞子ちゃん、も、持っていってあげる!」
「抱っこするんじゃなーい!」
騒がしい二人だ。
つうか、どんだけ食うんだよ、食べ放題だからって。女子の甘いものは別腹理論は、まこと、恐ろしいものよ。
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