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 体育祭も残すところクラス対抗リレーのみとなり、所謂僕のようなモブキャラは、応援というエキストラになるしかない時間帯が来た。

 今日一グラウンドがわく中、一人おろおろと、それこそ母猫を捜しては道に迷い、未知の遭遇に怯えながら人の波を縫う仔猫が視界に入った。


 何を隠そう、僕の妹だ。


「おい紗凪、一年生はあっちだろ?」

「はっ! 兄ィ!? こ、こここ、ここであったが百人力!」

「ここで会ったが百年目の間違いじゃぁない?」


 安心した! 的な表情エフェクトを頭上に点滅させながら、同学年の中ではそれなりに大きく成長した胸をキュッと寄せた紗凪の後ろから、母猫の声が聞こえてくる。あかりちゃんが迎えに来てくれたみたいだ。人ごみに埋もれて声しか聞こえないけれど、それでも立派なアホ毛がぴょこぴょこと存在をアピールしている。あれはあかりちゃんのアホ毛である。


「はぅぁ〜、あ、あかりちゃぁぁ〜ん!」


 ボフン、と、あかりちゃんの胸に飛び込む紗凪。


「お〜、よしよし、もう大丈夫だよ〜」


 なんだか、小さなお母さんみたいである。

 その時だった。

「位置についてー……」と、声が響くと共に、最終種目、クラス対抗リレーが、


「よーい」


 ————————!!


 クラス対抗リレーが、今、始まった。

 金池はうちのクラスのアンカーだ。弓道部のくせに陸上部や他の運動部を差し置いてのアンカー起用、しかしそれはクラス万丈一致の結果なわけで。

 つくづく、僕の親友とは思えないスペックだこと。隠れオタだけどね。



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