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高校生活三年目。
さて、僕の高校生活も残り一年となったわけで。
それと言って目立ったことはしなかったけれど、そこそこに青春を、——あわよくば性春が良かったけれど残念ながら無縁だったのはさておき、そこそこ楽しい青春を送ってはいる。それは数少ない友達、——親友と呼ぶべきか、その存在が大きい。
ちなみに進路は未定。
「よ、木下、また同じクラスだなっ」
「おう、
生まれつき色素の薄い茶髪が原因で、よく先生に疑いをかけられていた。その都度僕が庇っていたのだけれど、その所為でやけに僕を立てるクセがある。
あの頃はともかく、正直、今となれば僕が勝っている部分など無いに等しいのだけれど。
「今日は入学式だけで解散だよな。帰り、ギャオに寄るけれど、金池も来るだろ?」
「悪い、部活あるんだよなぁ。ほら、試合近くてさ。と、いうわけで、代わりに俺の分も予約してきてくれよ」
「それなら仕方ないな。わかった、カッピハンターGの予約は僕が責任を持って遂行する」
「助かる。あ、初回限定デラックス版、フィギュア同梱で頼む。勿論女キャラだからな?」
「へいへい」
金池は僕の影響もあり、部類のゲーマーで結構なオタクに成長してしまった所謂残念イケメン。
しかしその事実を知っているのは僕を含めごく僅かである。因みに部活は弓道部で、何度か大会に足を運んだけれど、僕の親友(オタク)とは思えないくらいに様になっていて思わず笑ってしまった。
誰もコイツの部屋に美少女フィギュアがズラリと並んでいるなんて想像もしないだろう。イケメンはイケメンで色々と大変なのだ。体裁が。
金池と別れ帰路につく。
ギャオは帰り道とは逆の夢咲モールの一階に併設されている。ダウンロード版もいいけれど、僕と金池はパッケージ派なのだ。遊び尽くした後にソフトを売れる。お金のない学生にはかなり大きな恩恵と言える。
予約を済ませた僕が再び校門前を通過した時刻は、金池と別れてから数時間後のこと。
紗凪はもう帰っているだろうか、僕は右手に持ったスイーツカピパラダイスの箱に目をやる。中身は紗凪の好物フルーツタルトである。入学祝いくらいは——と、その時だった。僕の視界に、悲哀満ち溢れた、見慣れた後ろ姿が映ったわけで。
何を隠そう、僕の妹だ。
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