第186話 10章:テーマパーク(15) SIDE 宇佐野

SIDE 宇佐野


 あんな化物をみたのだ。

 命がかかっていることなんてわかってる。

 でも私は、ここで退いたら一生後悔すると感じたのだ。


 死んだように毎日に流されるよりも、素敵な未来が開けると思った。


 ただ、難波君から聞いたのは、想像よりもずっと恐ろしい話だった。


 人間が喰われてる?

 喰われた人は記憶から消える?

 『組織』というのが世界中にあって、ヴァリアントと戦ってる?


 この目でヴァリアントを見なければ、作り話だと思っただろう。


 でもあれは夢などではなかったし、今も私は変身したままだ。


「今の話を聞いてもやめる気は?」

「ないよ」

「そうか……わかった。じゃあ、しばらくお試しってことで、修行とヴァリアント狩りをしよう」

「はい! よろしくお願いします!」


 難波君は困ったように頭をかいた。

 この優しそうな彼が、学校や街を護ってくれていたかと思うと、余計に愛おしくなり、体の奥がじんじんと熱くなる。


「ねえ難波君……なんだか……体が熱いの……」


 私は思わず難波君に体を密着させていた。

 おかしい、いつもエッチな妄想はしてしまうけど、こんなに自分を抑えられなくなるなんて。


「ちょっと宇佐野さん! そんな半裸みたいな格好でカズにくっつかないで!」

「ええ~?」


 いつもなら恥ずかしさで逃げ出してしまうだろうに、今の私は白鳥さんに微笑むと、より難波君に体を密着させた。


「ねえ……熱いの……助けて……」


 私の唇が難波君の顔のすぐ傍にある。


「ちょっとカズ……これって……」

「ああ、神器の影響だな。というか、彼女の魔力の源はコレなんだろ」

「うわぁ……」


 むう、難波君てば冷静なんだから。

 白鳥さんはちょっとひいてるし。

 なんだっていうの?

 もっとくっついちゃうんだから。


 ぺろりと難波君の頬を舐めると、彼は私の頭を抱き寄せてくれた。

 彼の指がカチューシャに触れたとたん、私の全身を快楽が貫いた。


「んんっ! ああああぁうっ!」


 私の体はビクビクと痙攣し、くたりと難波君にもたれかかった。


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