第17話
『おいチビ。子分を可愛がってくれたのは、てめぇか? 俺が屋久中のアブこと、
『ヒューッ! いいぞ虻さん、やっちゃってください!』
五分後。
『畜生、このままで済ますと思うなよ!
『ええっ、茂久市六と言えば、有名なヤン高じゃないっすか……』
後日。
『お前か? 最近調子乗ってる中坊って奴は。俺は
十分後。
『ぐ……っ、強ぇ……どうやらミシェルの二代目ってのもハッタリじゃねぇみたいだな。これは……俺じゃ荷が重かった……』
『わ、鷲さん!?』
また後日。
『いい加減つけ回されんのも面倒になってきたから、この際アタマから潰す事にした……あんたが裏番なんだろ? 俺が勝ったらもう手下をうろちょろさせんのやめさせろ』
『中坊がいきなり殴り込んできたかと思えば……おい、お前らこいつに礼儀ってもんを教えてやれ』
一時間後。
『ハア、ハア……やるな、中坊。あの人の息子だとすれば納得だ……気に入った! お前、茂久市六に入って裏番やれ』
『ぜえ、ぜえ……やなこった! 俺は高校で彼女と平和にいちゃつきたいんだよ。お前ら勝手にやってろよ』
『ハア……ふふふ、全員気絶させながら、よく言うぜ。まあ約束は約束だ、またしつこいバカが出てきたら、連絡くれよ』
『あ、あいつとうとう茂久市六の裏番と引き分けちまったぜ。おい、どうする!?』
『き、決まってるだろ? ……参りました、舎弟にしてください~!!』
△▼△▼△▼△▼
「……とまあ、勢いのまま隣市一帯まで制圧しちゃったんですよね」
「いやー、かっこよかったよな、夜羽さん」
「へえ、そうなの……茂久市六 (※茂久市立第六高校。県一番の不良校)の裏番とね……そう言えば受験前の大事な時期に、複雑骨折で入院した事あったわよね? 階段から落ちたって聞いてたけど」
夜羽をちらりと見遣ると、真っ青になって小鹿みたいに震えている。夜羽が中学の時、不良共を蹴散らした事に関しては、
「あの時、どれだけ心配したと思ってんの!? つけ狙われてるなら、言ってくれればよかったのに!」
「ご、ごごごめんなさい! ミトちゃんを巻き込みたくなかったんだよぅ」
「すげぇ、あの夜羽さんが押されてる……さすが『赤眼のミシェル』のスケなだけあるな」
「可愛い顔して、実はゴリラだったりするのか……?」
おいコラ、私はスケでもゴリラでもない! 普段の夜羽がとんでもないヘタレなだけよ。
でも困ったわね……なんでこの(自称)舎弟が現れたのか知らないけど、サングラスをかけた夜羽に用があるのは確実だ。もう夜羽には、危ない事してほしくないんだけどな……
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