新居

バブみ道日丿宮組

お題:うわ・・・私の年収、小説の書き方

新居

 お嫁においでと言われていろいろ準備してきたものの……。

「物置く場所ないじゃない」

 彼の部屋に入ってみると、うわ……部屋の中本だらけ。

「あとでやろうと思ったらいつの間にかね?」

 いつの間にかって……限度があるでしょう限度が。普通は本棚に入れるとか処分するとかいろいろやることがあるでしょうに。

「これが100年に1人として数えられる学者とは思えないわね」

 外のほうが明るい。まぁ……部屋の中電気ついてるし……。窓が埋め尽くされるからしかたないわね……。

「これでどうして嫁にこいって言ったの?」

 掃除役とかいったらどうしようかしら。

「んー、そこは本当にきてほしかったから間違いないよ」

 告白に間違いがあってたまるか。

「ほら、僕は年中学園に身をおくわけで出会いがないでしょ。そこで小さい頃から一緒にいた君に好意を持ったってわけさ」

「なにそのあまりものみたいな言い方」

「ごめんね。研究以外は凡人以下でさ」

 立ち上がり彼は私の手をとった。

「一応新居は用意してもらったからそっちで今後は一緒に生活することになるけど大丈夫?」

「荷物の手続きはしてあるから問題ないわ」

 それにしても新居か。こいつにしてみたら頑張ってくれたほうなの……かな?

「とりあえず、これが婚約指輪だよ」

 手の中に渡されたのはただの箱だった。

 中身をあけてもほんとに何もなかった。

「これ……なに? 私はゴミってこと?」

「違う違う。君みたいな可愛いこがそんなわけないじゃないか」

「そ、そう……」

 面と向かって可愛いとか言われると恥ずかしいものね……慣れるかしら。

「これはね。僕の想いによって創造物が生まれる特殊な箱なんだ」

「どういうこと?」

「簡単にいえば、これからの僕の頑張りによって結婚指輪が生まれるってこと」

 いってる意味がよくわからない。

 もし本当にそうなら誕生してからくれればいいのに……。

「少しずつ出来上がる。その中にあるのが僕の凡人なりな気持ちだから見守ってほしい」

「ふーん。理解したくないけれどわかったわ」

 じゃぁ行こうかと彼は部屋を私と一緒に出る。

 自然と鍵がしまった。

「ここはどうするの?」

「そうだね。いつか子供が生まれたら一人暮らしようにとっておくのもいいかもね」

「そ、そう」

 子供ってすぐじゃないわよね? 新居ってそういう意味?

「しかし、これから教室行くたびに冷やかされるのかー。想像つかないな」

「大してそう思ってないのに言わないでくれるかしら」

 はははと笑う彼の手を握りしめるのはそんなに嫌じゃなかった。ううん、これから一緒に暮らす相手を嫌になれるわけなんてなかった。

 こうして私は彼の秘書として学園生活することになった。

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