ばにトル
バブみ道日丿宮組
お題:くだらないモグラ 制限時間:15分
ばにトル
バニラピーチというのをご存知だろうか。
無論私は知ってる。
もったいぶるつもりはないので説明するが、バニラピーチというのは世間に広まってる桃とは違う用途で使用されてる桃のことをいう。
カタカナ表記されてることからも察しが強くにこれは輸入した果実。
ただ人間が食べるには凄く甘く、1つまるごと口にしようものなら次の日には糖尿病になってるという恐ろしい糖分を持ってる。
そのため、日本では研究用にしか利用許可が降りてない。そうはいっても人間は好奇心旺盛という愚民なので世界中で糖尿病患者が増大し続けてる。
それでなぜバニラピーチという商品をはじめに出したかというと、この果実を食べても病気にならずむしろ健康になる動物に興味を持ったからだ。
「人間が糖尿病になる量の糖分を他の動物が消化できるはずがない」
多くの人間はこう考える。
だが、トルコにいる1人の健康者が発見してしまった。
毎日毎食バニラピーチを食べても不健康にならないモグラをね。
世界中の人間がそのためにモグラを使った研究をはじめた。糖分を支配できるのであれば、今までに発病した糖尿病患者も救うことができるはずと。
だが、実現はできなかった。
それは人間が日々自分の肉体を壊し続けてるためだ。はっきりいえば、人間の身体はバニラピーチを含んだ状態で生きてるといってもいい。それだけのおかしさが人間には存在してる。
そう……健康になるのであれば、人間であることをやめればいいという研究するまでもない結果がいたるところで発表された。
そうしてバニラピーチを吸収できるモグラはただのモグラとして人間の記憶から消えた。欲望が強い人間にはそもそもバニラピーチを拒否するということができなかったのだ。
この先救いの手が現れることもない。
人間は生まれながらにして糖尿病を患う動物へと進化、いや退化してしまったのだから。
こうして記憶を書き連ねる私は人間をやめた。すべて人工物へと肉体を切り替えた。そのこともあって永遠に近い生命を手に入れた。誰も真似をするものもおらず、ただ世間を見るだけの毎日だが面白いことはなくならない。
何かを禁止すればそれを違反するものが現れ、何かを開放すればそれを悪用するものが現れる。
ほんとうに人間は退屈しない動物だな。
私は土の中から彼らをただ見守るだけだ。
ばにトル バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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