第16話 ベレスタ襲撃
レイナがハミルトンから出発して一週間が経過した頃、此処ベレスタの領主アルベルト=ガイアスはレイナが来るのを楽しみに待っていたのであったが、まだレイナが到着していない為、イライラしていた。
『おい。レイナの馬車は何時来るのだ? もう此処に到着しても良い時間だと思うが。答えろ!』
「旦那様。申し上げございません。今、騎士団20名をハミルトンに向っている最中です。到着しましたら、通信魔道具にて連絡が入ると思います」
『なら、問題ないな?』
すると、騎士団から通信が入った。
「旦那様。ハミルトンに向って行っている最中にレイナ様の思われる馬車が粉々になってしまっています。しかも、大量の血が多くあり、恐らく魔物の襲撃にあったと思われます」
『なんだと! 私はレイナの為に珍しい水晶を用意しているのに! 探せ!』
「はは。」
『ハミルトン侯爵め。娘を何処かに逃がしたか!』
アルベルトはレイナがベルスタではなく別の場所に行ったのを感じていたのであった。
元々、ハミルトン侯爵はアルベルトにレイナを嫁にするはずがないと考えていた。
『レイナ。何で君は僕の事を好きではないんだ! 父上に言って王国騎士団を使って絶対に見つけ出す!』
アルベルトは怒り込めて叫んだ。
そして、机の上にある水晶を見ていた。
『この水晶はお前との結婚指輪として買った物なのに......』
アズベルトは水晶を見ていると水晶から光が出て来たのであった。
『なんだ! この光は!』
アズベルトが叫ぶと、水晶は消えてしまった。
『僕の大事な水晶が!』
その時、激しい雄たけびが街の周辺に集まって来た。
其処に、近衛騎士団長が慌てて執務室に入って来た。
「旦那様! 街の周りにオーガの大群がやって来ます! 直ぐに逃げて下さい!」
『大群とは、オーガ100体ぐらいならお前達で十分のはずだろう』
「違います! オーガの大群、約3万。もう街の中に入って来ています!」
『なんだと! 騎士団長! 王都に連絡をしろ!』
「それが.....王都の返事が全くありません.....」
『なに! どう言う事だ! 僕が父上に連絡をする!』
アズベルトはロベルト専用の通信魔道具で連絡をするとロベルトが出て来た。
『父上! ベレスタがオーガの大群に襲われています! その数約3万! お願いがあります! ベレスタに応援をお願いします!』
するとロベルトからの返事はもっとひどい内容であった。
『アルベルト! それぐらい、お前の私兵で何とかしろ! こっちはオーガ約10万が王都に入って来て王国騎士団5000名が今戦っている最中だ!』
そう言ってロベルトは通信を切ったのであった。
「旦那様.....王都からの応援はどうなりましたか?」
『応援は来ない....』
「え?」
『応援が来ないって言っているだろう! 王都もオーガの大群に襲われている! ベレスタより約3倍の数で!』
「旦那様。急いで此処から離れましょう!」
『そうだな。領民を盾としたら、此処から脱出できるだろう。騎士団長! ハミルトンに向かうぞ! 準備しろ!』
「了解しました......わああああああ!」
騎士団長が脱出の準備に行こうとしたらオーガ達が襲って来て、騎士団長は死んだのであった。
それを見たアルベルトは剣を持って応戦しようとしたのである。
だが、騎士学校で訓練もサボっていたアルベルトの剣ではオーガに傷もつけれないのであった。
『わあああ! 来るなあああ!』
ブンブンと振り回すアルベルトであったが、オーガが持っていた斧で剣を持っていた右手を斬り落とされた。
『痛いいいいいい!』
『来るなああああああ!』
アルベルトは逃げ回って、遂にオーガ達に囲まれてしまった。
『なんで....僕が此処で死ぬのか! 僕は死にたくない!』
それがアルベルトの最後であった。
オーガ達は斧でアルベルトを切り刻んでいった。
その後、約3万のオーガはバレスタの領民全員を皆殺しにしたのであった。
『ゲドンサマ。コノマチノニンゲン、ゼンブコロシタ』
『良くやった。次は港街ルーベルトに向かえ。ルーベルトの街の人間達を皆殺しにしろ』
『ワカリマシタ。ルーベルトニイク』
『後は王都とハミルトン以外の街全て壊滅させてやる。後はオーガキングからの連絡を待つのみ』
そう言ってゲドンは魔の森の中にいるのであった。
其処に、ドライセンが念話で話してきた。
『ゲドン。聞こえるか?』
『ドライセン様』
『ベレスタは壊滅したか?』
『はい。先程、ベレスタに向ったオーガキングからベレスタの民全員殺したとの報告が入りました。そして、ルーベルトに向っています。』
『分かった。ルーベルトには領主がいないから、すぐに壊滅するだろう。それと他国に逃げようとする船全部を破壊するのを忘れるな』
『ルーベルトに到着したら、指示します』
『分かった。他の主要都市はどうなっている?』
『ハミルトン以外は順調です』
『絶対にハミルトンは残せ。但し、ハミルトンに来る人間は全て殺せ!』
『分かりました。ドライセン様』
『俺は王都のメルビン国王の元に行く』
『分かりました』
ドライセンの念話は此処で終わった。
(先ほどから主要都市の壊滅の報告が来ている。これでミッドガルは終わりだ。あははははは!)
ゲドンは高笑いしながら状況を見ているのであった。
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