第14話 レイナ15歳(前編)
レイナが冒険者見習いとなって早3年が経過していた。
来週にはレイナは15歳の誕生日を迎える。
今、レイナは騎士学校の最後の夏休みに入って、ハミルトンのダンジョンに潜っていた。
『ソフィ! こいつの攻撃を防いで!』
『分かった。メイ。』
『リンダ! 攻撃魔法の準備を!』
『了解』
『レイナはリンダの魔法を放ったら、突入して!』
『了解』
ダンジョンでは4人の女性達がオーガとの戦いをしていた。
壁役のソフィが盾でオーガの攻撃を防いで、その間にリンダが魔法の準備をした。
『リンダ! 今よ!』
『分かった。いくよ「ファイアアロー」!』
リンダが火魔法ファイヤアローをオーガに放っていき、オーガの目に火の矢が刺さった。
そして、レイナが剣でオーガに飛び込んで行く。
レイナは高速の剣でオーガの首を斬り落とし、オーガは息を絶えた。
『ふう。終わった』
『ナイス。レイナの剣はすごいわ』
『みんなのアシストのおかげだよ? それより、今はレイナじゃなくてライナで言ってよね?』
『分かったわよ....レイナ....』
『また、レイナって言う。メイ』
『あははは。リンダ。もう少し詠唱早く出来ない?』
『頑張る.....』
メイがオーガの死体から魔石を取り出した。
レイナは3年前に女性3人のパーティ『天使の羽』に見習い冒険者として参加していた。
『天使の羽』はCランクの冒険者パーティで、リーダーは小柄の回復術士のメイ。
男見たいな身体が筋肉質である重戦士のソフィ。
そして、魔法使いのリンダの3人組である。
ソフィが盾で相手の攻撃を防ぎ、リンダが魔法で相手を倒す。
メイは支援魔法で全員の能力を上げ、又仲間が負傷したら回復魔法で回復する。
其処に見習い冒険者として剣の優れたレイナが加入して、リンダの魔法提唱時間を稼いだり、又リンダの魔法で弱くなった相手に止めを刺して行く。
レイナが加入する前はダンジョンには入らなかった『天使の羽』であったのだが、レイナ加入後、前衛の攻撃が増したのでダンジョンの中に入って魔物を倒していた。
その後、数回の戦闘が終わり、全員は少し休憩を取っていた。
『今はレイナで良いよね? この辺り誰もいないから』
リンダは周りに人がいないのを見てレイナに声をかけるのであった。
『もう....。レイナで良いわよ? どうしたのリンダ?』
『あなた。もうすぐ15歳になるのね?』
『来週には15歳になるよ?』
『やっと見習い期間が終わるのね?』
『うん』
『そうなると、この4人でのパーティから3人になるのかあ』
『そう悲観するなよ? リンダ』
『なに言っているの。ソフィ。一大事じゃない!』
『そうか? レイナは多分、私達と一緒に行動するになると思うぞ?』
『出たわ.....ソフィの予感。ソフィの予感は絶対に外れるから。だって当たったら悪い事が起こるからね?』
メイがソフィに対してツッコミを入れて、全員が笑っていた。
『それじゃあ。この辺で終わって報告しに行くよ』
『『『了解』』』
こうして『天使の羽』はダンジョンから出てギルドに向ったのであった。
ギルドでダンジョンで稼いだ魔石を受付嬢に提出していると、後ろからギルドマスターのロクサーヌが『天使の羽』全員に声をかけて来た。
『メイ。それとソフィとリンダに....後ライナ。頑張っているか?』
『ギルドマスター。ライナがいるといないとでは稼ぎが違うから、だって今までの3倍の収入だもんね』
『そうか......。それよりお前達、マスター室に来い。良いな?』
『え~。』
『え~ってなんだ? 後でリンダには説教でもするかのう』
『いいえ、結構です。すぐに行きます!』
『ならよろしい』
ロクサーヌはそう言ってマスター室に行った。
魔石の清算をした『天使の羽』はマスター室に行き、中に入って行った。
『みんな揃っているな?』
『『『『はい』』』』
『さてライナよ。来週、15歳を迎えてこれを渡そう』
『はい』
レイナはロクサーヌからネックレスを貰うと
『これは、お前の冒険者カードになるネックレスだ。今までの活動でランクが決まる。そしてお前ライナ=フォリナーは今日から『Cランク冒険者』となった』
『『『『!』』』』
驚く『天使の羽』の全員。
『ライナ。おめでとう!』
『ありがとう』
『そこでお前達に指名依頼が入っている。依頼主は....ダグラス=ハミルトン侯爵だ』
『『『『え?』』』』
『今すぐ、領主様の家に集合するからな? 無論私も一緒にだ!』
『『『『え~!』』』』
『ほれ。行くぞ!』
『『『『はあい』』』』
そして、ハミルトン邸に行った『天使の羽』とロクサーヌは執務室でハミルトン侯爵との会談をするのであった。
「良く来てくれた。ロクサーヌと「天使の羽」の皆さん」
代表してリーダーのメイが話をするのであった。
「いえいえ。それより領主様。私達に指名依頼とは?」
「私の娘が来週15歳の誕生日を迎えるのだが、その3日後に娘がバレスタの領主であるアルベルト=ガイアス子爵と結婚をする為、バレスタまでの護衛を頼みたい」
「それでハミルトン侯爵様の娘さんは今何処に?」
「もう座っているのだが? そうだろう、レイナ」
ダグラスはメイ達と座っているライナに指を指した。
「「「ええええええ!」」」
驚くメイ達。
「ごめん。メイ、ソフィ、リンダ。私の名前はレイナ=ハミルトン。ハミルトン侯爵の娘なの。」
「そうだったんだ。それでハミルトン侯爵様。表向きはレイナをバレスタまで護衛だけど、本当の依頼は何でしょう?」
メイはダグラスに本当の依頼を聞くとダグラスは苦笑いをして答えた。
「やっぱり、気が付いていたか?」
「はい。ここに領主様だけだったら、護衛の依頼は本当だと思っていましたが、ギルドマスターが一緒なら違うと感じたのです。つまり....この依頼には裏があると...」
「そうか、そなた達はレイナの冒険者仲間でしかも友人だったな。では、本当の事を言う。レイナの15歳の誕生日の後、レイナをライナ=フォリナーとしてこのミッドガルからそなた達の拠点があるカレディア王国へ連れて行って欲しい」
「お父様」
「これはある筋からの情報で其処のロクサーヌも知っている内容だ。よく聞いて欲しい。一か月前、ベルン王国がミッドベルト連邦の加盟国に対して宣戦布告をして今、シルベスタ王国と戦争をしている。この状況を利用して娘のレイナをあのバカ子爵の嫁にさせない為、レイナの護衛としてベレスタに行く途中で盗賊に襲われて死んだと言う虚偽の報告をするつもりだ。だから頼む! 娘と一緒にカレディアで冒険者活動をして欲しい」
ダグラスがメイ達に頭を下げるとメイ達は答えた。
「領主様。私達は何の問題もありません。むしろ私達から頼みたいのです」
「そうですよ。レイナ....いやライナと一緒に活動出来るのなら嬉しいに決まっている」
「そうですわ。」
「お父様....みんな.....ありがとう....」
「これからレイナの事ライナって言うからな?」
「はい....」
「お父様。それで私の騎士学校の卒業はどうするのですか?」
「それは国王から卒業証書を既に貰っているので大丈夫だ」
「そうでしたか.....」
「レイナ。来週まではレイナ=ハミルトンとして此処にいて、誕生日の次の日からライナ=フォリナーとして生きて行くんだよ」
「はい。お父様」
「それでロクサーヌ。ベルン王国の状況はわかるか?」
『侯爵様。その事について.....ベルン王国はシルベスタ王国を支配下にさせました。次の標的は....ここミッドガルです。私はミッドガル出身の冒険者を集めてここハミルトンの防衛に当たります』
「そうか.....ありがとう。ロクサーヌ」
『いいえ。メルダ様の遺言ですから』
「そうであったな。お主はメルダの元メイド長兼この国の最強の魔法使いであったな?」
『そうであります』
ロクサーヌは笑顔で答えていたのであった。
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