第一章 ミッドガル壊滅(レイナ編)

第13話 レイナ12歳

私の名前はレイナ=ハミルトン。

ミッドガル王国にある都市ハミルトンの領主、ダグラス=ハミルトン侯爵の娘で歳は12歳になりました。

父のダグラスはミッドガル王国の国王アーノルド=ミッドガルの宰相をしています。

母のメルダは私が6歳の時に重い病気にかかり9歳の日に亡くなりました。

私は9歳の時、洗礼式で『剣聖』の職業をいただき、父ダグラスのような素晴らしい騎士になる為、王都にある王立騎士学校に入学しました。

騎士学校には私の婚約者となるロベルト=ガイアス子爵の長男アルベルト=ガイアスがいました。

はっきり言ってこの人は好きではありません。

理由は彼の騎士学校での行いが原因です。

自分勝手でわがまま、しかも女好きで妹で魔法学校の生徒であるアンリエッタの友人を手籠めにしている話を聞いて最低な男だと思いました。


私には本来ならば次男であるセシル=ガイアスと婚約する予定でしたが、9歳の時に魔物討伐訓練中に行方不明になって.....ガイアス子爵から死んだと公表したのです。


そして.....今年の初めにアーノルド国王が病気になって公務が出来なくなり、王子のメルビン王子が国王代理となったのです。

メルビン王子は組織改革を行って、父ダグラスがしていた宰相を解任されてあのガイアス子爵が侯爵になりしかも宰相となったのです。

その後、メルビン王子の了承を得てアルベルトと私との婚約が出来てしまったのです。

父は反対しましたが、王子の権限には逆らえず、決定してしまいました。


ある日、学校の授業が終わるとアルベルトが私の所に来て話したのです。


『これはレイナ嬢ではありませんか?』


「何のようなの?」


『貴方に良い報告がありまして。本日、私と貴方との結婚が認められました』

アルベルトはニヤニヤして言ったのです。


「うそでしょう.....」


『本当ですとも、結婚は貴方が15歳の誕生日を迎えた後になりますけどね。僕はこんな綺麗な奥さんをいただくなんて......嬉しいです』


「......」

私は絶望の淵になってしまったのです......。


『後、これも言わないといけませんので報告しますね。僕アルベルト=ガイアスはこの騎士学校を卒業したら父上が統治しているベルスタの街の領主として、メルビン王子様から爵位として子爵をいただく事になりました。それでは....貴方の15歳の誕生日を迎えて騎士学校を卒業した後にお会いしましょう』

アルベルトはその場を後にしました。


その年の夏休みに私はハミルトンの街に帰省しました。

そこで父ダグラスに結婚の話を問いただしました。


「お父様。なんであのバカと結婚する羽目になったのですか?」


『すまない.....レイナ。此れには訳があるのだ』


「その訳を教えて下さい!」


『実は、私は宰相を解任され、ガイアス侯爵から『ハミルトンの領主を取るかレイナ嬢を我が息子の嫁にするのか決めてくれ』と言われたのだ。もしもレイナを取るのなら、この街に対する税を10倍に引き上げると言われてしまって......私は税で苦しむ領民を守る為にお前を奴の嫁に差し出してしまった.....すまん。レイナ』

父は領民から慕われる領主であった為、泣く泣く国王の提案を受けてしまったのです。

それを聞いて私は父が悩んだ事には文句を言わないのでした。

しかし、父は私に以外な事を言うのでありました。


『レイナ。今から冒険者ギルドに行って冒険者見習い登録をするのだ。』


「え?」

私はその言葉を聞いて驚きました。


『これは私の提案なのだが.....レイナ。冒険者見習いの登録をするのに『レイナ=ハミルトン』ではなく偽名を使って登録しなさい。ギルドマスターのロクサーヌには話をつけている。』


「どうしてなのですか?」


『実は、余り良くない話であるが.....レイナにも話そう。このミッドガル王国は元々中立の立場であったが、新しい国王になったメルビン国王が他の国を我が物としようと計画している節があって....もしも、この2,3年の間に他国に攻め込もうとなったら...私が陣頭して戦いにでるかも知れん。私はなんとしてもお前をミッドガルから出て欲しいと考えている。だから、その為の準備にお前が騎士学校のいる期間、特に夏休みの期間の間、冒険者として自立できるように考えたのだ。そこでレイナが15歳になったら冒険者になって此処から出て他国で冒険者として生きて欲しい』


「そうなるとお父様が責任を取られるのじゃないの?」


『私の事は気にしなくていい。お前の15歳になる年の夏休みの日に友人と旅行中に盗賊に襲われて殺されたと言えば問題なかろう』


父の話を聞いた私は泣きながら父に抱き着きました。

次の日、私は父の言う通りに冒険者ギルドに向いました。

受付嬢に父からの紹介状を見せてギルドマスターのロクサーヌさんを呼び出していただきました。

そして、ギルドマスター室でロクサーヌさんと話をしました。


『これはレイナ様。領主様から聞いています。冒険者見習い登録をするのですね?』


「はい。」


『実はレイナ様にはあるパーティに参加してもらいます。そのパーティは元々この連邦のパーティではありません。カレディア王国から来る商人の護衛の為に一緒にきている冒険者パーティなのです。名前は『天使の羽』と言う3人組の女性パーティです。レイナ様が15歳になるまでの間の夏休みを利用してハミルトンにあるダンジョンに潜ってもらいます。そこで冒険者になる経験値を稼いで欲しいのです。』


「分かりました。」


『それで別名をどうしますか?』


「もう決めています。名前は......『ライナ=フォリナー』で」


『そのフォリナーって言うのは?』


「私の亡くなった母メルダの家名です。もうフォリナー家はいないのですが....」

そう母メルダの家名は既に無くなっていたのです。

それは....母が父と結婚した後、フォリナー家が治めていた街が魔物の大群に襲われて壊滅したのです。

母の家族全員死んでしまって、母だけがハイルトンに居た為、生き残っていたのです。

母が生前に私に話してくれました。

もしも、私が冒険者になりたいのならフォリナーと言う名前を使いなさいって......。

それを思い出して名前を決めました。


『それではライナ=フォリナーさん。15歳になりましたら正式な冒険者として活動を期待します。頑張って下さい』


「ありがとうございます。ギルドマスター」


私、レイナ=ハミルトンは夏休みの間、ライナ=フォリナーとして「天使の羽」のメンバーになってハイミルトンのダンジョンで経験値をあげるのでありました。


そして.....3年が経過して私は15歳の誕生日の年を迎えます。







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