第10話 シルウス(セシル)15歳(前編)

ハミルトンで見習い冒険者の登録が終わって3年が過ぎて、シリウスは明日、15歳の誕生日を迎えた。

それは、幽霊になった母マリアンヌのお別れの日である事が近づいていたのだ。


その夜、シリウスは15歳の誕生日を迎える為にマリアンヌとの最後の話をして行った。

マリアンヌはシリウスが生まれる前の事や本当の父親の事、実父であるロバルトの不正をマリアンヌが調べていた事をシリウスに話をしていた。


『そろそろ.....お別れの時間になったわね?』


「母さん。3年間、俺の勉強を見てくれてありがとう」


『良いのよ? だって母親だからね?』


「母さん。最後に聞きたい事がある」


『なあに?』


「何でレイナを助けて欲しいって言ったの?」


『それはね.......。もう! 分かったわ! 教えてあげる。 シリウスが6歳の時、ハミルトン侯爵一家が私達に会いに行った時に、メルダからレイナちゃんの事を聞いたの。メルダは元々重い病気を持っていたのでレイナちゃんの将来に関して不安になっていたのを私がいつも聞いてあげていたの。 あの訪問後に、メルダから連絡があってね、レイナちゃん。貴方の事が好きになった見たいなの』


「そうなんですか」


『ええ。それで昔、貴方があの人に隠れて冒険者関連の本を読んでいるのを見て、やっぱり、親子なんだなあって思ってね、多分、将来冒険者になって行くと思ってメルダにレイナちゃんにも冒険者になる様に薦めたの。レイナちゃんがあの人の道具にされないか心配をしてね。それが今現実になろうとしている......』


「俺もここ最近のハミルトンで聞いた話だと、ミッドベルト連邦の加盟国が内戦するって話が持ち切りだった。ミッドガルは中立国だがいつ別の国が此処に侵略される場合があるってハミルトン侯爵はこの街を守る為に必死になって騎士団を訓練しているって聞いたよ。父上の街を行ってみるとその話は出ていて、領民は隙を見て此処から逃げ出そうと計画しているみたいだ。父上達はその事すら気付いていないけどね?」


『あの人の事は無視しても良いわよ? それよりも貴方はこれからどうするの?』


「俺は前世の知識を使って自分の本来の武器を作ろうと思う。その後、この国を出て他国に行こうと考えている。ギルドに行って正式な冒険者になって他国に行く護衛の依頼を受けようと思う。まあ今ギルドカードを見るとCランクにはなっているはずだよ?」


『そうだよねえ....貴方はこの3年間....この森も魔物討伐を倒して来たし......まあ、怪物だと思ったわ.....だってね....貴方のレベルって200超えているでしょう?』


「隠蔽で今はレベル70にしてあるけどね? しかもこの指輪を装備しているから問題はないけどね?」


『その指輪って...実力の半分しか出ないのかしら?』


「この指輪についている石が俺の能力を抑えているからね。しかも4個。今の俺の実力は約7割ぐらいしか発揮出来ないけど、この辺りの魔物相手では十分だったけどね」


『はあ....しかし、それもあの『エデン』対策?』


「ああ。絶対にバレないようにしないとね? その服装もさっき出来たばかりで今の指輪に封じ込めているから」


『まあ。頑張って欲しいものだわ....って、そろそろ時間になったわ』

マリアンヌの身体が段々と薄くなってきてあと数分で消えそうになっていたのであった。


『最後に......シリウス。貴方を愛しているわ.....後、レイナちゃんを見つけて一緒になるんだよ! これは私の最後の言葉だよ? そしてレイナちゃんの冒険者のとしての名前は.......ア○○.....じゃあ。さようなら.....』


「分かったよ。母さん......永遠にさようなら....」

マリアンヌの姿は消えて行った。


「此れからは俺は一人だ、先ずする事は俺の『魔銃士』としての武器「ガンブレード」を制作して完成したら、冒険者登録をする!」


シリウスは「ガンブレード」の制作を開始したのであった。


その後、シリウスは試行錯誤しながら、ついに自分の理想な武器「ガン・ソード」を二個制作をした。

黒色と銀色のガン・ソードを見ながらシリウスは感慨を受けていた。


「この二個のガン・ソードは基本系で強力な魔力石を入れるともっと強くなる」


シリウスが作ったガン・ソードには名前がある。

黒のガン・ソードは「ワルキューレ」。

銀色のガン・ソードは「アルシオン」。

銃の原型は前世で御剣龍馬が好きであった銃「44マグナム」を元に作られていた。

両方の特徴は基本は銃なのだが、シリウスが魔力を注ぎ込むと剣に変化をする。

銃に埋め込められた魔力石に魔力を込めると銃から魔弾を発射する事が出来て、剣にも魔力石の効果により魔法剣としても使用が可能であった。

そして、ワルキューレとアルシオンにはそれぞれに属性を持っていた。

ワルキューレには闇・火・雷・土の属性。

アルシオンには聖・水・風・光の属性。

シリウスの「鑑定」で相手の特徴を見破り、それに対抗出来る銃で戦うスタイルにしていたのであった。

ついでにシリウスの服装も用意した。

これは他人にバレたくない為、あえて作った装備である。

ちなみにその恰好も前世で龍馬が自衛隊で来ていた迷彩柄を元にした服装で顔全体を覆うヘルメットもあった。腰には左右に箱見たいな物が付いていて、其処からワルキューレとアルシオンを収納していた。


これらの装備はシリウスの左手の中指につけている指輪の中に収めていた。

その指輪に声で『装着』と言えば、その服を身に着ける事が出来るのだ。

.....まるで、何処かのヒーローみたいになっているのは置いといて.....


シリウスの右手の薬指に着けている指輪はメリアンヌが質問していた、自分の能力を抑える指輪である。

以前は4個の石が埋め込められていたが、今は改良して石は一つになっている。

自分の魔力を込めるとその力が解放する様にしたのだ。


普段のシリウスの恰好はいつも冒険者が来ている軽装な鎧と皮のブーツで腰には小型剣を装備している。

この小型剣は自分の魔力を入れると大きさを変化できる特殊な剣で、素材はガン・ソードに使っているシリウスが錬金で作成した特殊金属である。

しかも銃にも変化が出来る品物であった。

名前はレイと名付けた。


準備をしたシリウスは外に出て今まで住んでいた小屋を見ていた。


「今までありがとうな。此れからは放浪の旅に行くので此処でお別れだ」

シリウスは小屋に向ってレイを銃モードに変化して魔弾を発射した。


小屋全体が無くなって、土魔法で平らにして行く。


「これでよし。じゃあ行くか」

シリウスはその場を後にしてハミルトンに向って歩いて行くのであった。


シリウスがその場所から居なくなって数時間後、小屋はあった場所に黒い影が二つ出て来た。


『この辺りで良いか』

1人がもう一人に話す。


『そうですね。この場所に魔物増殖の収容所にしましょう。』


『なあ。ナンバー7の貴方が来る理由は?』


『決まっているでしょう? この国を私達の拠点にするからだよ?』


『ミッドベルト連邦をねえ....直ぐに支配出来るのじゃないのか?』


『主の指示は『内密』に時間は掛かっての良いので『確実』に支配して欲しいと言われたのよ? わかる? ナンバー15。』


『それで私がベルン王国の国王を暗殺して国王になった訳ですな?』


『そうよ? 貴方がベルン国王として他国への宣戦布告をしてこの連邦国を統一するのが主の指令なのよ?』


『わかりました。ナンバー15のドライセンが受けますぞ。ナンバー7、いいや『黒豹のアンナ=ロマホフ』様』


『黒豹で良いわよ? アンナ=ロマホフの名は地球にいた名前だから、私はもう人間ではないし.....ね?』


『はい。分かりました』


『それで期間は2年よ。その間にこのミッドベルト連邦を壊滅しなさい。良いわね? それとは捕虜として隔離してね? 後で、私達の兵隊になってもらうから。それと自分しか考えられない人は即殺してね?』


アンナはその場から消えていたのであった。


『わかりました。黒豹様』

その場にいたドライセンはベルン王国に帰還したのであった。


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