第9話 シリウス(セシル)12歳(後編)
都市ハミルトンに到着すると、明日冒険者ギルドに行くので、すぐに宿を取って寝るのであった。
次の日、シリウスは冒険者ギルドに着いた。
中に入ると筋肉マッチョな男達が多く受付の前に並んでいた。
シリウスはその列の最後に並んで、自分の順番を待っていた。
約1時間後、シリウスの番になったのである。
「いらっしゃい。坊や。ご用件は何かな?」
若い受付嬢がシリウスに質問して来た。
「はい。僕は今日12歳になったので、冒険者見習いの登録に来ました」
「そうだったのね。冒険者見習いは12歳から登録出来るので問題ないわよ。それでこの用紙に氏名と冒険者になりたい動機を書いてくれる? 書き終わったら私に言ってね」
シリウスは受付嬢が用意した登録書に氏名と動機を書いた。
「名前は....シリウス。歳は12歳。動機は各地を巡って行きたいので冒険者になりたい.....。なろほどねえ....他国に行くには冒険者になってランクがCにならないと行けないからね? そして、最後にこの魔法具に魔力を入れてくれる? 職業とレベルが表示できるから」
シリウスは魔法具に魔力を込めた。
すると魔法具が光出して文字が出て来たのであった。
「職業は....戦士と魔法が少し使える見たいだね? 後はレベル20ね。君なかなか良い能力じゃないの?」
受付嬢は喜んで、続きの話をする。
「冒険者登録の条件は15歳になって職業は戦士とか魔法使いなどの戦闘職、回復魔法と支援魔法が使える支援職、感知能力がある探索職のどれかあれば冒険者になれるわ。ランクは最大がSでその次がAで段々と下がって最低ランクはGよ。冒険者登録したら最初は最低ランクのGから始まります。しかし、見習い冒険者制度があって、12歳になると見習い冒険者になり、15歳になると正式な冒険者として登録が出来るわ。見習い冒険者の条件は、先ほどの冒険者登録条件にレベル20以上じゃないと見習い冒険者にはなれないのよ。その点、君はすべてクリアしているから見習い冒険者登録が出来ます。ランクを上げるにはポイントが一定ラインに達したら1ランク上がるわ。見習い冒険者の場合は15歳までの期間に受けたポイントで正式に冒険者に昇格したら、ランクが与えらえるので3年間頑張ってね?」
「はい。分かりました」
「最後に依頼出来るのは薬草採取ぐらいしかないから。ゴブリン討伐はパーティを組まないと出来ないから注意ね? 後は、月に何回かは講習があるから必ず受ける事いい?」
「はい。」
「それでは、この石に自分の血を垂らしてくれる?」
「はい.....出来ました」
「ちょっと待ってね」
受付嬢はシリウスが血を垂らした石を魔力で操作して行く。
すると石が赤く染まって行くのであった。
「この赤い石が見習い冒険者の証になるので、こうやって......出来たわ」
受付嬢は赤い石をネックレスにして、シリウスに渡した。
「この石は貴方と繋がっているから、何を討伐したかわかるよ? 例えばゴブリンを倒したら、その石に記憶されて、何体倒したのがわかるのよ。正式な冒険者になったら、討伐ポイントや依頼ポイントが正式な証に記憶されて石の色が変化になるので覚えていてね?」
「はい。分かりました」
「見習い冒険者は登録した街でしか効果がないから注意してね?」
「はい。ありがとうございます。お姉さん」
「いやだわあ.お姉さんだって...」
受付嬢はニコニコしながら
「それじゃあ。15歳になるまで頑張ってね」
「はい!」
シリウスは冒険者ギルドを出ていったのであった。
『登録おめでとう』
「ありがとう。母さん」
『これからどうするの?』
「ハミルトンの街を探索するよ? 今の状況を把握したいから」
『分かったわ』
シリウスは色々な場所を探索して行って昼になったので、食事処に入った。
「すいません」
『あら、いらっしゃい。ご注文は?』
「おすすめランチを一つとオレンジジュース一杯お願いします」
『はいよ』
しばらくしてランチとジュースが来てシリウスは食事をしたのであった。
食事中、魔力感知で店の中にいる人から話を聞きだすと、ある話題が出て来たのであった。
『おい。知っているか?』
『なんだよ?』
『領主様のお嬢様が婚約したって話だ。その相手がな....評判悪い貴族の息子だってさ』
『それってベルスタのガイアス子爵の長男か?』
『ああ。本当は領主様が次男の嫁にって思っていたのだが、次男があの魔の森の調査で行方不明らしくてガイアス子爵は次男が死んだと発表して、その後、あの長男の嫁に決まったらしい』
『あの長男って確か、半年前に起こした事件の関係があったのでは?』
『ああ。あの長男の専属メイドが自殺した事件だろう?』
『噂では、あの長男とその友人たちがそのメイドを犯したのが原因だってさ』
『それで、証拠を隠蔽したのだな?』
『ああ。あのメイド.....恋人がいたはずだ』
『その恋人も自殺したって話だが.....あいつらに殺されたと言われているからな?』
『確か....あのメイドの名前は....メアリーって言っていたな?』
『ああ。そのはずだ。可哀そうになあ....』
その話は其処で終わったのであった。
するとマリアンヌが驚いた顔をして話した。
『そんな.....あの真面目なメアリーが.....』
『母さん.....メアリーの敵は俺が撃つ!』
『.......』
マリアンヌはそのまま黙っていた。
そして、昼食後シリウスはハミルトン邸に向って行った。
ハミルトン邸の中を柵の間から見ていると一人の若い女性が剣を振っていた。
その女性は金色のロング髪で眼は赤く身体はスラリとした女性であった。
奥から同じ髪型で年代は40代の女性が若い女性に話をした。
『あれは....メルダ?』
『と言う事はあの若い女性がレイナさん?』
「お母様。病気なんですので部屋に入って下さい」
「レイナ......。ごめんね.....。私の病気の薬の為に貴方が悪評高いアルベルトとの婚約する事になってしまって.....」
「私は気にしていません。だって後1年で騎士学校を卒業して王都の近衛騎士団に入るのだから。そうなると最低でも5年は結婚を延期になるので大丈夫だよ? 騎士学校で一番である私がアーノルド殿下直属の近衛騎士団に指名をお断り出来ないし。あのバカ子爵親子は.....手出し出来ないって」
「それなら良いけど.....レイナ。良く聞いてね.....。今後、私達に何かあればこのハミルトンから出て欲しいの? 」
「え?」
「確か、レイナって別名で冒険者登録したはずだよね?」
「はい。」
「ハミルトンから出たら、その名前を使って冒険者として生きて。良いわね?」
「はい.....お母様」
「それじゃあ。夕ご飯にしましょう」
メルダとレイナは屋敷の中に入って行った。
『シリウス』
『?』
『もしも、レイナさんに何かあったら助けてあげなさいね?』
『???』
『だって、貴方の婚約者だから! 良いわね!』
『......わかりました。母さん』
『よろしい。それじゃあ、私達も帰るわよ』
シリウスとマリアンヌは魔の森にある自宅に帰るのであった。
そして....時は過ぎてシリウスは15歳の誕生日当日になったのである.....。
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