第4話 セシル3歳

御剣龍馬が転生した世界『レアバーン』とは、地球で言う中世ヨーロッパに近い建物で覆われており、魔法が一番発達している世界である。

このレアバーンには中央に小さな島と東西南北に大きな大陸がある。

その大陸には様々な種族が国を作って生活をしているのであった。

東の大陸には軍事力中心の国であるバラン帝国。

西の大陸には5つの国が同盟して出来た国ミッドベルト連邦国。

南の大陸には魔法が一番発達して出来た国ミストバーン魔法国。

北の大陸には農業が一番発達して出来た国カレディア王国。

そして、中央に小さな島には神聖なる神ルナミスを信仰している国ルナミス教国。

これらの国々は此処1000年余りお互いに調和を取りながらこの世界を守っていたのであった。

龍馬が転生した場所は、ミッドベルト連邦国の中にある国ミッドガル王国の都市ベルスタの領主、ロベルト=ガイアス子爵の長男として生まれた。

転生した名前はセシル=ガイアスと言う。

父親のロベルト=ガイアス子爵は歳は35歳、中肉中背で口に髭を生やしている。

何故か息子であるセシルにはキツくあっているのであった。

セシルの母親であるマリアンヌ=ガイアスは25歳でこの国でも有数な魔法使いとして有名であった。

実はマリアンヌの父親が元々この街の領主であったが、跡継ぎがマリアンヌしかいない為、父親の家臣であるロベルトがガイアス家に婿としてマリアンヌとの結婚を希望して父親はそれを了承したのである。

しかし、マリアンヌには既に好きな男性と一緒にいたのだが、ロベルトの策略によって、マリアンヌの恋人は死んでしまい、マリナンヌに結婚を迫った。

マリアンヌには既にセシルを身ごもっていて、セシルを産ませる事を結婚する条件でロベルトと結婚を承諾した。

その為、夫婦間での関係は既に冷めていた。

マリアンヌはセシルを次の跡取りとして大切に育てる事に一番の幸せと感じていたのである。


そして、セシルが3歳になった。


(やっと3歳になったか、一応ステータスを確認するとするか)

セシルは自分のステータスを出して確認した。


名前 セシル=ガイアス 男3歳 

レベル1 職業:未確定


HP500  MP300

攻撃S・防御S・器用S・体力S・魔法力C・俊敏S・知性A・運B


耐性 魔法防御B・物理防御S・全異常耐性無効

スキル 道具箱アイテムボックス・錬金・鍛冶・鑑定

剣術S・全魔法属性・魔法攻撃D・格闘A・暗殺A・身体強化・魔弾


称号 ルミナスの庇護


(元々の俺の前世を引き継いでいるなあ。ありがとうルナミス様)

セシルの能力は元々前世である龍馬の能力を引き継いでいた。

以前にルナミスからチート能力を貰う予定であったのだが、元々の自分の能力を知っているのでチート能力を断った経歴があった。


(錬金と鍛冶はこれからの俺には一番必要だからな?)

セシルは錬金と鍛冶が欲しいのは、生前に使っていた魔法銃をこの世界でも使える様にしたかったのだ。

その為、龍馬としての前世の記憶が消えるのが怖かったのである。


(この小さな身体を鍛えるのはまだ早いな。それなら魔力量を上げた方が良いかも知れん)

セシルには考えがあった。

正式に肉体を鍛えるのには8歳からと考えていたのである。

その間は自身の精神部分を鍛えておく必要であると考えた結果であった。

そう思っている内に母のマリアンヌの声が聴こえてくる。


「セシル。もうすぐお昼になるから食堂に来て」


『はい。お母様』

セシルは自室を出て食堂に向って歩いていった。

食堂には母マリアンヌと執事のハリー、セシル専属のメイドであるメアリーがいた。


「さあ、セシル席に座って。ハリーもメアリーも一緒に食べましょう」


セシルが座り、その場にいた全員が食事をする決まりであった。

食事はマリアンヌとメアリーが料理をしたもので、それを食べたセシルは、とても美味しかったと感じたのである。

だが、その場には父親であるロベルトはいなかった。

ロベルトはセシルが生まれてから、必要な時以外は外に出ていたので、はっきり言ってロベルトは役に立たない領主だった。

実はこのベルスタでは役人制度を元領主が行っており、有望な役人が役割分担でこの街の治安を守っていたのである。

その役人たちはマリアンヌには好意的でロベルトに対しては無能として毛嫌いをしていたのであった。

ロベルトは弱い立場なので、殆ど家にいなく、幼馴染であった商人の娘のアンリエッタの家に入り浸りしていた。


「セシル。美味しかった?」


「うん。美味しかった」


「そうよかったわ。今日は貴族の振舞が出来る為の勉強があるから頑張ってね。メアリーごめんなさい。後の片づけお願いしますね?」


「はい。分かりました。奥様」


「じゃあ。セシル。私は職務があるから」


「うん」

マリアンヌはそう言って食堂から出て行った。


セシルには専属のメイドがいた。

それが今片づけしているメアリーである。

歳は12歳で中々の器量良しの美少女であった。


「ぼっちゃま。そろそろ先生が来ますので着替えの準備をしましょう」


「そうだね。メアリー」

セシルは自室で着替えをして、貴族の振舞の勉強をする。

その後、約1時間後に勉強が終わるとセシルは自室にいた。

ここから夕食が始まるまでの時間を使ってセシルは自分を鍛えた。


(そろそろ、この世界の状況を調べないと今後の事を考えないと行けないな?)

セシルはそう思って此処でしか出来ない事を3年間行った。


それは......魔力循環と身体強化の訓練。

後、前世の知識で今後に必要な武器の作成を考える事であった。


(今日は俺が使う武器の研究でもするか......)

セシルは道具箱から錬金で作ったノートと鉛筆を取り出して武器の設計図を書いて行く。


(問題は材料だよな? この世界で俺が必要な金属があるのか全く分からない.....今後の俺の重要案件だと思う。その為には冒険者になって行く必要があるかと思う)


セシルの今後とは、冒険者をしながら各地を廻って最終的に貴族としてこの地を守る事を考えていた。

それと来るであろうあの「エデン」に対抗する為に自分の武器を作る事を最重要案件として考えて行くのであった。

だが、運命とは皮肉な物で今後、ある出来事以降にセシルの生活に大きく変化する事にこの時、セシルは分からなかった。


そうして、更に3年の月日が過ぎて行くのである。


 

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