"男子校"生は美人な彼女の夢を見る
みくり
第1話
「いらっしゃいませ、お客様は二名様でしょうか?」
店内に入りすこし驚いたように立ち止まり少し頬を赤くするお客さん。
その視線の先には可憐な笑みを浮かべる美しい少女。
俺はこの春、恋をした。
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新学年になりそろそろ受験を意識しだす高校2年生。
クラス替えで、気になるあの子と同じクラスになり二人の距離が急接近!?
ドキドキの学園ラブコメが始まる…訳もなく…
「おはよー」
そう声を出しながら教室に入ると、見渡す限り男、男、男。
「うっす!拓哉の席はこっちだぞ」
代わり映えのない声に目を向けると、後ろの席を指し示す4年連続同じクラスとなる前園健二がいた。
名簿には御堂拓哉。たしかに前園の後ろの席に自分の名前があった。
「また同じクラスなのか…まぁよろしく」
「腐れ縁ってやつだな!俺もびっくりだ」
そうだなと言って席に座る。
ここは地元でも名門の”男子校”。私立名成中学高等学校だ。
そして目の前にいる前園健二は中学からずっと同じクラスとなるサッカー部の部長。
男子校にはもったいないほどのイケメンで文化祭の時の逆ナン記録学校一位のタイトルを持っている。
しかしその一方彼女いない歴=年齢の俺たちの仲間である。
この学校は中高一貫の男子校で高校からの途中入学もない。
だから高2の5年目ともなるとクラスのみんながもう知り合いなわけで…ワクワク感も何もない新学年が始まるのだった。
今日は始業式のみで本格的な授業は明日から。そのため午前中で解散となった。
「なぁ、拓哉。そろそろ受験とか意識してるか?」
放課後、荷物を片付けながら健二が聞いてくる。
「いや、俺は成績も平均的だしそこそこの大学の推薦をもらおうかと」
「そうなのか。でもこの学校の平均って世間から見たら相当高いぞ。今から頑張れば最難関レベルの国立とか私大狙えるんじゃないか?」
この名成中高は全校でも有数の偏差値を誇る学校で通う生徒の学力レベルは相当高いことが知られている。
「まぁね、でも色々やりたいこともあるしいいかな?」
「なんだ、やりたいことって?」
「飲食店でバイトをする!そして、そこで美少女と知り合って、仲良くなって恋仲に!この男だらけの灰色の青春カラフルに色付ける!」
そういうと健二は何故かかわいそうなやつを見るような目でこっちをみていた。
「お、おう。でも現実にそんなことは起こらないぞ」
俺だってそんなことは知っている…
でも行動しないと何も起きないじゃん?それにもしかしたら、もしかして、もしかするかもしれないし…
「あきらめたらそこで試合終了だぞ。俺は絶対に灰色青春のままじゃ終わらせない!」
そうして、俺は期待を胸に軽い足取りでファミレスの面接に向かった。
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