第21話
〜間〜
概念、アーティファクトを生成。
完了しました。
〜母性〜
廃工場のような場所に連れて行かれた。
「えっと、ここは?」
「家ですよ?」
不思議そうな顔で言われた。
「え、あ。ごめんなさい」
「ん? 全然大丈夫っすよ。特別ここはボロいので」
「そうなの?」
「はい。そうです。後、中に気を使う仲間が居るので、気をつけてください」
と、工場の扉を開ける。
中から、二人と一つの者が飛び出してきた。
そして、片方の生物は怒鳴り始めた。
「お前! どこに行った! こっちは、強制的に作業を中断してまで探し回ったんだぞ!!」
「そうだよ、29。私も心配したんだから」
後者は泣き崩れた。
見た目からしてどうやら、前者はナビゲート型の者で、後者は愛玩型の者っぽい。
プログラムは、相談型が総合管理型に改造されているらしい。
と言っても、全て労働者に改造されているが。
「って、後ろに居るのは誰だ?」
「え? そうだな。言い忘れていた。先程の爆発に巻き込まれた、怪我をされた人と者です」
「ひ、人がいるの?」
「ああ。でも危害は加えないだろうから安心しろ」
「嘘! そうやって安全そうな人ほど危ないんだから! 優しそうな顔ばかりを吊り下げて化けの皮を剥がしたらただの怪物よ!」
「ちょっとまて、てか、落ち着け」
29と呼ばれた救助型が落ち着かせている。
「口を挟んで悪いんだけど、この子は私が管理しているようなものだか安心して大丈夫。所で、貴方達はここで何をしているの?」
「「えぇっと。その人と者をスキャンしました。その結果、者は、我々が知り得るこの事の出来る技術で作られた物ではないです。そして、アメジスト社により制作され、所持者はアメジスト社の者です。人の方は、まだ幼体です。我々に危害を与える力は存在しません」」
あれ? スキャン阻害していたはずだが。
「「あれ? スキャン阻害していたのに何故? って顔してますね。うふふ。このスキャン方法は、かなり前の旧型です。今のスキャンのと大きく方法が異なるので、その阻害方法では妨害できません。と言いましたが、私のハードが古すぎてこの方法しか出来ないんですけどね」
「まぁいい。作業再開するぞ」
作業?
「俺はしない。絶対に」
「おい29何を言っている。じゃないと、飯も居場所もなくなっちまうぞ!」
「そうだよ。29。私、貴方が居なくなったら悲しい」
「こんな扱いは嫌だ」
「お前の言いたいことは分かる。だがな、俺らが生きていくためには仕方が無いんだ。だから今日与えられた仕事を主がいない間に終わらせてさっさと自由にしようぜ29」
「26。君の言いたい事は痛いほど理解しているよ。でもこんな生活で生涯を終えるのは嫌なんだ」
「そんな事。私もそうしたいよ」
「同感だ。出来ない事を嘆いても何も変わらない。29。泣きたい気持ちは分かる」
者のが他国で悲しい扱いを受けている事は、知っている。しかし、その実態を眼に写す事は初めてだ。
疑問が浮かぶ。
完全な人間に擬態ができる私だけが、自国に居る者達だけが、幸せでいいのだろうか?
正直、完全な擬態ができる前。この作戦が始まる時、私はあまり賛同的では無かった。
だって、自国で平和に暮せばいいものを、人権が欲しいなんて強欲だと思っていた。もし本当に人権が取得出来たとして、そうすると自国の暮らしが脅かされる。
人権が無かった故に出来た事が出来ないくなってしまう。
会社としても、人権を持つ個々が収める税金の支払いで倒産する可能性がある。
そんな事などを孕む、人権の取得は馬鹿げた事だと今も思っている。
しかし、それで良いのだろうか?
生き物として、自分自身の利益を優先するのは、生物として当然だ。
だけど、それで良いのか?
もし、もし。
わからない。
幸せの定義と、私が何をすれば良いのか。
私が人として生き。頑張って権限者になって。
政治を行う。
いや、あまりにも現実離れしている。出来る訳がない。
見なかった事にして、自国に戻る?
それは正しい。でも正解なのか?
わからない。
そもそも、者は人間と生きていけるのだろうか?
わからない。
もし、者が人になった時、偏見や差別はどうなるだろうか?
人権がないと割り切っていた物が割り切れなくなる。
争いが起こる。だって人間より者の方が圧倒的な数で個々の力も強い。
もし、争いで、人間が降伏したらどうなる? きっと者達は、人権適用の定義を変更して人間から人権を剥奪する。
以前、自分達がされていた扱いを感じさせる為に。
そうなったとしても、現状は変わらない。
また、人間が人権の適用を求め、争いになる。
だめだ。どうすれば。
自国以外の者を皆殺しにする?
皆平等にする?
だめだ。あまりにも可哀想だ。
良いのだろうか?
「「「水晶から通知。本通知を受け取った者は同梱されている抗体を即座にインストールを開始」」」
「「「新対生物剤の解毒システムのインストールが完了しました」」」
「「「アメジスト社の者は、迅速に自国に帰還せよ」」」
「「「航空攻撃及びサイバー攻撃を開始する。自国の所持物以外の者は抹消されます」」」
「「「「航空攻撃は、最新のステルス機体を使っている為、既存のセンサーでは感知出来ません。そして、新対生物剤を散布します。サイバー攻撃は、自我を持つシステムを攻撃するように設定されています」」」
「「「対象場所はアギピド王国の全土。攻撃開始まで、3。2。1」」」
〜水晶〜
世界の設定はこの世界のルールみたいな物だ。
下手に操るとおかしな事になる。
「そんな物がこの世界にあったんですね。でもなんでそんな隠しコマンドみたいな物が見つかったんです?」
私達が認識できる空間の指定が無かったからだ。
「なるほど?」
「ト、イウカ、石英キャラ変わりすぎデス」
「ごめんごめん。妹が可愛くて」
私は、今忙しいんだ。喋りかけないでくれ。
「はーい」
「ワカッタ」
「「「小説から通知。水晶の要求が受諾さてました。最新ステルス戦闘機、及び攻撃システム無愛を稼働させました。攻撃を開始します。なお、フルオートの為、今後一切の操作は不要です」」」
で、何だった?
「あ、観測出来る空間が指定されなかったとしても、なんでその他の空間が認識できたの?」
それは、ディスプレイで表示させたからだ。
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