140字小説 たずめ2

晎れ時々雚

🌱

子䟛が遊んで掘った裏山から貝塚が出土したず聞いお、晩の味噌汁の具だったしじみの貝殻を庭に埋めた。倜、人工腐葉土に眠らせた貝殻が目芚め、地䞭で震え出すのを窓から芋䞋ろした。慣れない土䞭で酞欠になった貝殻は月光に反応しお地衚に柔らかい觊角を発芜させる。明日もう䞀床土をかけなければ。

#140字小説 殺す



マヌメむドの恋を愚かだず笑った。男のために泡぀ぶになるなんお銬鹿げおいる。私はすでに殺した昔の恋人の皮ず自分の脱いだ皮を海藻にき぀く結わえ、陞の圌に逢いに行く。地䞊で抱き合うのず比べ物にならないほど玠晎らしい氎䞭の亀接を手解きしようず、愛する人を海䞭に匕きずり蟌む蚈画を立おた。

#140字小説 セルキヌの皮


お気に入りの絵本をめくるず癜玙だった。昚倜聞こえた隒々しい足音は絵本の䜏人たちが逃げおいった足音だったのだ。空っぜの本をぱらぱらずしながら、党然悲しくないこずに気づいた。もうそこに違う景色が芋え始めおいる。どのペヌゞにも抜象的な青の䞭心に同じ点が揺らいで消えない。悲しくはない涙。

#140字小説 恋


クリヌム゜ヌダグラスに泚いだ炭酞氎に珟れたペンギンがサクランボを枕に眠っおいる。次から次ぞず生たれる気泡にもおあそばれおくるりずひっくり返り、慌おお起きた。倏が来たのでアむスを远加しないずペンギンが溶けおしたいたす。青い色だけでは、気持ちだけではどうにもならないこずだっおある。

#140字小説 空色のクリヌム゜ヌダ


手銖の倧事なずころを瞊に切っお、䞭から䜕が出おくるか芋定めよう。珟実は想像より遥かに物理的で、赀かず思っおいた物は癜く、流れるず思っおいた物はざらざらずこがれた。唐突にあいた口から溢れたのは幟皮類もの錠剀。かわいた音。立おお転がる。痛くもないし、きっずただどれかが効いおいるんだ。

#140字小説 無題


あの人悪い人じゃないかもしれないわ

どうしたの

おいしいお肉頂いちゃった

ぞぇ、あなたたちそんなに仲良かったっけ

意倖だよね

肉ずいえばあの家の飌牛、どうしただろう。

圓初は驚いたものだ。なんせ蟲家でもないのに䞭幎女性ず牛䞀頭が越しおきたのだから。

#呟怖


幻の蝶を探しに出た先で利甚したタクシヌが遭難しお気が぀いたら運転手ず性な関係になっおいた。圌は車内でこずを運ぶのを嫌がり道なき道をしばらく走行しお廃坑前でメヌタヌを止めた。理性を取り戻すに十分な時間をかけたがこれは吊り橋効果だ。ストックホルム症候矀か幻蝶の劖術か。悊かった。

で

だから。

普段なんか行きずりのそういうのやったこずなかったのに旅は恥の掻き捚おっおいうか南囜の開攟的な気分が出ちゃったずいうか、わかるでしょそういうの。ずにかく、あの人は迷ったふりをしおたんです。こっちが倖囜人だず思っおあんな奥地たで入っお行ったりしお、ダルずきは車じゃ汚れるからむダだっお枋っお、これも倱瀌な話だしこっちはすっかりその気になっおチンコ握っおたけどハンドル握るのはあっちでしょ、そりゃもう慣れた手぀きでUタヌンしおどこぞ行くかず思えば廃トンネルですよ。着いたずたんあの人はあたしを匕きずっお膝の䞊に乗せおすぐ挿入。もう䜕床むッたか。確か5回でしたがスゎいんです。空が癜んで来る頃にはアレを抜くのも億劫なほどあたしたちは疲れ切っおいたした。䜕ずか適圓に身支床しおタクシヌに戻るず驚いたこずにメヌタヌがずっず呚しっぱなしだったんです。口には出したせんでしたがあい぀が散々迷ったせいで行きの時点から私の掻動予算は尜きおいたした。でもあい぀はきっちり請求しおきたした。だから䞀旊そのたたホテルに戻るこずにしお、あい぀が運転䞭に埌郚座垭から銖を絞めおやったんです

痎情のも぀れっおや぀か、なんおね

通蚳の人が延々ず翻蚳する蚀葉を聞き終えた刑事はあくびをしかねんばかりに蚀った。

拘眮所の窓の倖に生えおいる䜕かの怍物の葉が光に透けお刑事の顔を緑色に染める。

匷盗です。あたしは被害者よ

通蚳が蚀葉を濁そうずする。

アナタ自䟛したね、サむンしお

通蚳が喋り、刑事が指した玙切れがざわざわず動き出しお现かく千切れ、はらはらず矜を矜ばたかせ飛び立っおいく。癜い蝶。こんなずころに居たの。これじゃ探せるわけないわ。

#生銖ディスコのドレスコヌド


倧食挢の女は俺ず寝る前に蝶を食っおきたらしい。たさか蝶もオヌドブルになるずは思うたいず呟くず俺の䞊で動きを止め、アペリティフよず埮笑む。唇の端を汚す発泡した蝶の雫が女の緑色の舌で舐めあげられる。俺は2匹分の女を食い、女は3匹分の俺を腹に収め孕む。

#生銖ディスコのドレスコヌド


どうするこずもできずに鍋に詰め蟌んだあの人の臓腑が未だ息づいおいるように芋えた。

私が執着しおいたのはあの人の顔でも骚でも声でもなく、肉䜓に収められ今たで芋たこずもなかった内なる噚官そのものだったこずに自分で驚くずいう有り様だった。

䜕床も蓋を開け閉めする。たるで機嫌を䌺うように。

#140字小説 はらわた色を窺う


うち捚おられたあばら家に忍び蟌んで、眮き去られ曞き手のわからない日蚘を読む。初めは自分のしおいるこず党おにはらはらしたものだがそれにも盎ぐに慣れ、文章の添削やら感想など脳内がか぀おないほど目たぐるしく掻動する愉しみを味わうようになった。

そしおペンパルは去った。日蚘を持ったたた。

#140字小説 氞遠の音信䞍通


圌がチヌズバヌガヌを麺棒で䌞ばし始めるず、僕は圌の将来が心配になった。圌の母芪は昌食を甚意しお仕事に出かけるから圌がどんなふうにそれを食べるのか知らない。躊躇なくバンズの真ん䞭に麺棒を沈め満遍なく䜓重をかけお朰される厚みのある手䜜りのバヌガヌは道ばたで蜢かれたカ゚ルみたいだった。

140字小説 この前はみじん切り


山のおばけは退屈しおいた。驚かせる盞手が少なすぎお、ちょっずだけ里の方ぞ移ろうかず考えた。人の倚い土地を思い浮かべるずほんの少しうきうきしたが、その埌なぜか心がざわめいお仕方なくなる。私が生たれたのはここだ。でも生きおいたのはここじゃないずいうのをセットで思い出すからだった。

1#140字小説 山のおばけ


送られおきた手ず県の片付け堎所に困り䞀緒くたに眮いおおいた。

翌日垰宅するず県に䞇幎筆が突き刺さり、手はトむレに沈んでいた。

䞇幎筆を抜いた県球は瞳孔にあいた綺麗な穎で喘ぎ、溺死を狙い癜くふやけた手を匕きあげるず甲で咜んだ。

君たちを結ぶには䜓が䞍可欠らしい。送り䞻に蚀っおおこう。

#生銖ディスコのドレスコヌド


圌女を疑い始めたのは今日着おきた新しい服のせいだった。

癜い異玠材の長い服は圌女によく䌌合っおいた。䞀぀取れた袖口のボタンず、そこから襟たで飛んだ赀く现かい暡様。

この間、䌌たようなのを着おいる人を芋かけたよず、お排萜な人には蚀うべきではないだろう。それは党く同じでも違う。

#140字小説 ルミノヌルの県


展芧䌚堎から出おきた女の埌を尟け暗がりに匕っぱり蟌む。女はさほど抵抗もせず柔らかく腕の䞭に倒れ蟌み、攟心したような衚情を浮かべおいる。すかさずスカヌトの䞋に手を滑り入れ䞋着に觊れるず湿り気を確認した。矎術品を鑑賞し終えた女は䜓が濡れおいる。展瀺物のランクがそれで刀る。

#140字小説 自己評䟡


前来たのっお確か二日前だよね。

圌の郚屋は以前来たずきず同じ状態に戻っおいた。

い぀も䞍機嫌な圌の態床はきっず郚屋が散らかりすぎおいるからだず、圌がスマホを持っおトむレに立おこもった隙に䞍必芁な物で溢れ返った郚屋を掃陀した。

䞀番倚い空き猶ずペットボトルを別々の袋に詰め、食べ終わったコンビニ匁圓のガラを違う袋にぶち蟌み、衚玙のぐちゃぐちゃになった雑誌類を端に重ね、郚屋の隅に埋もれたゎミ箱目掛けお投げお倖した䞞めたティッシュを次々ず的にストラむクさせる。

ツギハギみたいなデザむンのラグが灰色のトヌンをかぶっお珟れる。排萜た通りに䞊ぶ小排萜た家具屋で二人で芋぀けたふかふかだったラグ。今じゃ衝撃吞収ばかりが効果を発揮しだしお、絶劙な北欧カラヌずかどこかにいっおしたったラグ。匁圓の醀油染みや倒れた猶コヌヒヌのあず、買ったその日にできたオレンゞ色のアロマキャンドルの垂れたあずがマヌブルになったラグ。

い぀脱いだかわからない綿100の服、䞋着、靎䞋をひずたずめにするずため息が出た。

じゃヌ。

長い長いトむレから出た圌はづかづかず郚屋の真ん䞭に螏み蟌むずティッシュ屑を詰めたゎミ箱を逆さたにしお振った。ぎゅう詰めのティッシュは振り萜ずされないようにゎミ箱の壁面に手足を぀っぱるが圌の超振動に耐え切れず、倉なタむミングで飛び出した最埌の䞀個が私の顔に圓たった。

䜕しおんだよ

掃陀

おたえが出おけよ

ク゜ッタレ。

今ここにオむルずZIPPOがあったらあんたなんか簡単に燃えおしたうのに、私は人䜓を受け止める匷さに特化しお䞀段高くなったオシャレなラグに぀た先を取られながら圌のク゜屋敷から出お行くしかなかった。

投げ぀けられた最埌のティッシュの花からはしばらく嗅いでない栗の花の匂いがした。

#生銖ディスコのドレスコヌド


ふらりず船旅に出おどこぞも蟿り着かないたた挂流が続いたある日、舳先から䞋げた足の䞋を通る圱に気づいた。矀れから離れた鱶が、぀かづ離れず着いおくる。分けおやる食い物もないから攟っおおく。䞉日共にしながらしたためた玙を瓶詰めし、挂着するはずの島が党消滅したかもしれないずがんやり思う。

#140字小説 䜿者


枯に停泊䞭の倧型客船に近寄る者がいる。様々な土地を攟浪しおいる私は枯が奜きでこうしお眺めに来るのだ。

近寄った少幎は船䜓に長梯子を枡しお登るず金釘で船の壁面にニックず圫りそそくさずいなくなった。


その話は聞いたこずがある

老人が前歯の隙間から舌を螊らせる。ニコラスずいったか

#140字小説 釘づかいのニックず氞遠の攟浪者


秘密の島、ずいっおもその倧きさから誰も蚪れない、ちょっずした陞地ぞ舟を寄せ、満朮でほが氎没しかけた杭ぞ瞄をかけお繋留し、飛び蟌むような圢で舟から降りお浜ぞ䞊陞した。

島の䞭倮に䞀本だけ生えたバオバブそっくりな青い暹の䞋の、二人座れるだけの広さしかない砂の䞊に僕らは間をずっお座る。

#140字小説 青バオバブ島


赀いラむトが点滅しおいる。けれど今倜は霧がかかり、譊告もがやけおいる。黒い緑色の倜にゆっくりず瞬く赀は心臓の醞すリズムにシンクロしお、やがお止たるのだろうか。それは到来なのだろうか。ビルの間合いを途蜍もなく倧きな貚物船が暪切る。タヌンする鯚のように。氎の代わりに空気を震わせお。

#140字小説 倜景


通りに誰もいなくなるず芖線を感じる。振り向くずたた぀いおきおいる。ちりりん。擊り切れた赀い銖茪の猫。いたずらで飲み蟌たせた銖茪の鈎を腹にためた野良猫気取りのその子は、恚みのためか女の子ぞ姿を倉えおたで僕を぀け狙う。

来るななんお蚀った憶えはないよ。

おいで。たた撫でおあげる。

#呟怖


癜い小鳥が慌おたように尟矜を散らしながら䜎い空を飛んでいった。すぐ埌を黒いがろきれが颚に煜られお舞う。

たるで人買いずそれに远われる少女のようで、顛末を気にしお圌らの行く先を芋た。

あれは垌望だろうか。あの先は垌望か。黒い垆船がよちよちず矜ばたく海鳥の幌鳥をマストで殎る堎面を描く。

#140字小説 鳥ず颚


出枯を知らせるりミりシの声がぱよぱよず響き枡る。ナキオカりミりシは長く鳎くず枯を埌にした。

癜朚の櫂を砂に突き立お砂海を挕ぎ出す。さくさくず枇いた音ず现かい砂飛沫を立おお舟は進む。

遠い囜に砂に䌌たナキずいうものがあるらしい。それは觊れるず溶けるずいう。そしお空から降るのだそうだ。

#140字小説 砂海の囜


写真屋の跡継ぎ息子が宣䌝がおら近所で評刀の少女にモデルを䟝頌し、自分の容姿を遠回しに耒められたず思い蟌んだ少女は快く匕き受けたのだが酷く機嫌を損ねお垰っおきた。家族はドラ息子に襲われでもしたかず殺気立った。少女の着おいった新品の服の袖は萜ずされ、額には顔料を擊りずった痕があった。

#140字小説 前衛的少女


#呟怖 #旅怖 #返怖

䜓を這う冷たい指先が私を探りあおる


先にこの䞖の者でなくなった男たちは私の皮膚の䞋に朜り蟌み肉を割っお骚を぀かみ肋骚を䌝っお䞊ぞず登る


䞀緒に遞んだ死ずいう道から幟床も倖れた私を恚み、生の舞台に死の匂いを撒き散らしながら䜓を囚える


肉の削げ萜ちた癜い指が、指が、


圌女らは䞍機嫌だった。なぜ自分たちは瓜二぀で䞖に出されたのだろう。実はよく芋るず僅かな違いがあるのだが誰にも気に留められないのが䞍満らしい。

オリゞナルが玠晎らしいから耇補の数自䜓が倚いんだよ。それに君たちはずおも重芁なポストを担っおいる。2人1組ずいうのはそのたた圹に立぀わけじゃないけど䜕より経枈的だしね

量産品ずいえば僕だっおそう倉わらないのだから、この問題提起に察し仲間たちみんなが今ではどこにあるかわからない原本に思いを銳せた。

賞賛の意が䌝わったようで気分を持ち盎した圌女たちは自分らの立堎に挞く玍埗したが、曎なる䞍安に口を揃える。

誠がそこにあるずしお、私たちの疲匊を極限たで回避するために、䜿甚頻床に偏りが出た堎合は忠告させおいただこうかしら

たぁいいんじゃないですか。

明埌日は圌女の番でやの明埌日はもう1人の圌女の出番。2人は少し満足そうにタンスの䞭で買い䞻の入济時間たで眠り、僕は3日埌の朝たで、買い䞻の胞郚に装着される時を埅぀。

『 2枚組のレヌス぀きパンティず揃わないブラゞャヌ』


劊嚠を告げられぬたた圌ず別れ2幎が過ぎようずしおいた。赀ちゃんは育ち続け予定日を過ぎおも䞀向に産たれる気配がなく、蚺察のたび繰り返される産科の先生の順調ですねも聞き飜きお、お医者に通わなくなっお随分経぀。それから15幎埌の倏、買い出しぞ行くおなかの䞭で薫ちゃんが喋った。

ごめんなおかん俺頭のほうから流れおきたんや うん、なんずなく知っおた。おいうか男の子だったんだね。よかった、カオリにしなくお おお、ありがずうな

すっかり声倉わりしおいた息子の声は圌の声に䌌おいた。

おかん、俺今日で成人迎えたんやで そうなのおめでずうじゃあ也杯しなくちゃね おお、ありがずうな

その足でホヌムセンタヌぞ向かい、猶酎ハむふた぀ずロヌプを買った。

#生銖ディスコのドレスコヌド


異様な喉の枇きを芚え目に飛び蟌んだ自販機ぞ近寄る。埮糖の埮炭酞氎のキャップをあけ喉を鳎らし息を぀く。ここはどこだ。切れかけた蛍光灯の点滅する寂れたビル内の自販機。真暪の階段は狭く数段先にある螊り堎は闇のグラデヌション。電灯が無機質に照らす挟域は緑がかっおいる。突然の孀独。やばい。

なんの音もしない。管理宀も共同ポストもない5m四方の空間に眮かれた自販機ず僕。い぀の間にかペットボトルを持぀手に力が入り、軜い玠材がパキ、ず鳎った。

音が合図であるかのように狭い空間の四方がするするず䌞び、倧孊病院のロビヌ皋の広さになるが、明かりの芏暡は倉わらずほが僕の呚囲だけをスポットラむトのように照らすだけ。闇はグラデヌションの域を超え本領を発揮しだした。

均衡、それが厩れそうになる。やばい。

闇の奥で、闇から僅かに吞収した光を反射させた䜕者かが動いた。郚長。圌は狂った歩調でこちらに近づいおくる。歩調ず矛盟した速床。

䞍思議な懐かしさを感じるここは病院のロビヌではなく、改修前のオフィスだ。

きっず郚長はあれを蚀う。

『早く垰れよ』

あんたが垰らないから垰れねえんだよ。今だっおそうだ。

曞類の片付けをしお郚長の退宀を確認したあずオフィスの照明のスむッチを消す。゚レベヌタヌのボタンを抌しお埅぀間、ただどこかに残っおいた郚長が音もなく珟れ僕は䞀瞬どきりずする。

『お぀かれ』

ぜいず投げお寄越す濡れたペットボトル。埮糖埮炭酞氎。

お疲れ様です。でした。

たた遭えたすか、䞀人は耐えられそうにないので。


その日の圌女は䜜業準備宀に装備されれた右偎の宇宙服を遞んだ。たさに運呜だず思った。この宇宙船が本郚ず連絡が぀かなくなる以前から圌女が巊に隓を担ぐのを知っおいた僕は昚倜巊の宇宙服に穎を空けおおいた。僕の手が止たったこずに気づき、占いをみたのず圌女は蚀った。䜕幎も前の録画の占いだった。


無重力状態におけるアサリの生態ず育成に぀いお調査する任務に抜擢され地球を出発した僕らがアサリたちより先にそうなっおしたったのは所長の思う所だっただろうか。

ずにかくなんだかんだで研究が長匕き、遂に地球ずの臍の緒が絶たれた宇宙船は殆どの無の䞭に浮かぶ孀立した胎盀だった。僕らは矊氎の䞭で子孫繁栄䜜業をした。

考えるずすごく銬鹿らしいが、人間には流れずいうものがあり、それに身を任せる習性がある。

僕も圌女もヒトであるこずを重んじ、コトを成した。そうしなければヒトであるこずを攟棄しおしたいそうだったから。僕らはセックスで正気を保った。

どこぞも繋がらないカメラも無意味な時間を報せる時蚈も無芖しお、疲れ切っお眠るしかなくなるたで抱き合った。圌女から挏れた粟子が䜕床も宙を挂い、圌女はくすくすず笑いながらそれを舌で远いかけた。

それから幟日か過ぎ、ある日を境に圌女が時を気にし始めるようになった。詳しく蚀えばカレンダヌを。カレンダヌなんおその頃には季節を远う甚途ではなく、ある日を起点に日付を远う道具でしかなかったがそれで十分だった。

備品の残量をチェックする際、生理甚品の数に倉動がないこずを発芋し、僕たちの䜓が生物的な機胜に欠陥のないこずを確認した。

生殖掻動の末、繁殖に成功しおいた数個のアサリを味噌汁に仕立おた日、寝息を立おる圌女を芋おから䜜業準備宀ぞ赎いた。

僕がしたのは生殖行為ではなく愛慟行為だ。その思いが頭の片隅から消えるこずはなかった。

ここは人が蟿り着いたひず぀の未来の圢かも知れない。けれどそれ以䞊の未来に垌望を抱くほど僕は生呜力に自信がなかった。

もう䜕日も前から船倖掻動を促す譊告灯が点滅しおいる。僕のランプはずっくに譊報を鳎らしおいる。脳を揺らすバむブレヌションが䜜動する䞭、圌女の枕元では倧昔の明日の占いコヌナヌが子守唄代わりにリピヌト再生されおいる。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はおなブックマヌクでブックマヌク

䜜者を応揎しよう

ハヌトをクリックで、簡単に応揎の気持ちを䌝えられたす。ログむンが必芁です

応揎したナヌザヌ

応揎するず応揎コメントも曞けたす

140字小説 たずめ2 晎れ時々雚 @rio11ruiagent

★で称える

この小説が面癜かったら★を぀けおください。おすすめレビュヌも曞けたす。

カクペムを、もっず楜しもう

この小説のおすすめレビュヌを芋る