第2話 おかしな鑑定さん
いや、気を取り直していこう。
先のことはわからないし!
小屋の中に備え付けられていた姿見の前に立つ。
転生した私の姿は、年は十二歳くらい? 種族は猫獣人だった。
赤ちゃんからじゃなかったのは、良かったのかな?
でも、いきなり森にポツンといたのにときは驚いた。
ぽふんと猫の姿になる。
猫の姿だと、白の混ざる長毛猫。自画自賛っぽいけれど、とても可愛いと思う。
次に、ぽふんと人の姿になる。
人間に、白い耳と長毛のふさふさしっぽがついた感じ。髪の毛は体毛と同じ色だ。
なんと自分もふさふさもふもふというおまけ付き転生だった!
「そうだ、チセ〜!」
ソファでまったりしているスラちゃんに声をかけられた。
「どうしたの? スラちゃん」
すると、ぽよんぽよんと飛び跳ねながら、スラちゃんがやって来た。
「名前をもらったじゃない? だから、ボクのスキルが継承されているよ。確認しておいてね」
そう言うだけ言うと、スラちゃんは再びソファに帰っていく。
「もう、確認ってどうするのよ〜」
スラちゃんに呼びかけるも、返事はなかった。
「こういうのって、大体
そんな言葉の途中で、まさかの画面が宙に表示された。
……え? 本気?
私は、目を瞬かせる。
【チセ】
種族:猫獣人
レベル:なんかすっごい!
魔力:なんかやっばい!
知力;すっげー!
力:猫並み? 必殺技は猫パンチ!
体力:ほどほど。スライムには倒されそうにない。
性別:女
年齢:十二歳?
固有スキル:内包図書館、テイム、精霊召喚
継承スキル:鑑定(NEW)
いや、鑑定が増えて、ステータスが見えるようになったのはいいんだけど、このレベル以降のゆるゆる評価はなんなの……(汗)
それと、『必殺技は猫パンチ』って私に喧嘩を売っているのかしら?
ついつい、ため息が漏れてしまう鑑定結果だった。
スラちゃんが、「継承した」って言っていたから、スライム感覚なゆるーい鑑定なのかしら?
とりあえずステータス画面は消した。
まあ、なんか色々『すっげー』らしいので、なんとか生きていけそうな気がしてきたしね。
うん。この世界で初めての晩餐を取ろう。
家の中を探索したり、ステータスに驚かされたりで、私はすっかりお腹がペコペコだった。
「ええっと、硬めのパンと、じゃがいも、ベーコン、玉ねぎ、バター、小麦粉……」
パンは硬いからスライスして。
スープに浸して食べましょうか。
私は、簡単にシチューと薄切りにしたパンで、簡単な夕食を作ることにした。
窓から外を見ると、すでに薄暗くなってきている。
「早くできるように、具は小さめにしましょうか」
厨房に立ち、調理道具を探してまな板とナイフ、お鍋を探し出す。
牛乳は……と。
なんだか、いかにも小さな冷蔵庫って感じの箱があった。
パカ、と扉を開けると、上段に氷と、下に食材が入っていて、その食材の中に牛乳もあった。
……て、あれ?
二段に分けられた庫内の上段で、水色の精霊さんが氷をベッドにしてお昼寝していた。
「あなたはだあれ?」
眠っているのを起こすのは申し訳ないけれど、その見た目女の子の精霊さんに声をかける。
「ふあーぁ」
彼女は、体を起こすと大きく伸びをした。
「……あなたが今度のあるじ様ね。私は氷の精霊。この氷が溶けないように一緒にいたのよ」
うーん。ということは、この家の住人ということかしら?
「私はここの番人よ。あなたの生活が快適であるように、ここで頑張ってお昼寝しているわ!」
そう彼女は答えるものの、お昼寝って、
あっと、それは後に置いといて。
「ねえ。私と生活を一緒にしてくれるなら、名前をつけたいわ。いいかしら?」
私が提案すると、彼女は水色の綺麗な瞳をパチクリさせる。
「いいけど……だったら素敵な名前がいいわ!」
当惑気味の表情が、一気にキラキラと期待に満ちたものに変わる。
……これは、責任重大だわ!
「そうねえ。アイス……違うなあ。スノウ……スノウホワイト、白雪!」
私が、氷からの連想ゲームで、白雪姫にまで至った時。
「シラユキ! それ、聞いたことない名前。素敵だわ!」
氷の精霊改めシラユキが、冷蔵庫から出てきて、宙に浮いてドレスを翻しながらくるりと回る。
彼女のドレスも氷製なのか、光に当たって、キラキラと光って綺麗だった。
そしてまた、私とシラユキの間がキラキラと光った。
『テイムしたことで、【氷魔法】スキルを継承しました』
あ、また頭の中で何か言っている。
私、神様に頭の中に何か入れられたのかしら? ちょっとそれは怖いわ。
でもまず、シラユキにご挨拶よね。
「じゃあ、シラユキね。これからよろしく、シラユキ」
「冷蔵庫はまかせてね! あと、何かあったら名前を呼べば駆けつけるから!」
そう、言いたいことだけ告げると、彼女はまた氷の上で眠ってしまった。
……冷蔵庫に氷。至れり尽くせりだなあ。
そう思いながら、バターと牛乳を取り出す。
そして、彼女の眠る冷蔵庫を閉じたのだった。
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