第11話 楽しい中古車
「踊る中古車」
ワシは中古車が大好きです。安い中古車を買って、自分であれこれいじったり直したり、CRC556を片手に磨いたり、添加剤を試したり、そういうクルマいじりが大好きです。とても心が躍る時間です。
基本的に中古車は、諸経費コミコミで30万円以内とワシは決めています。また欲しい車種とか色とか装備とか、そういうことはあまり考えたことがありません。中古車との出会いは「縁」だと思っています。たまたま通りがかったら、たまたまネットを見ていたら、そこに程度の良さそうな中古車があって、見せてもらって、ピンときたら買うというパターンを繰り返しています。
中古車探しは、ワシの経験から言うと、条件を一つ追加するごとに、選択肢が半分以下になっていきます。例えば同車種が100台あったとします。「色は白」という条件を付けると、半分の50台以下になります。さらに「走行50000Km以下」にすると25台以下。車種と流通量にもよりますが、ワシはそう考えています。自分が何を優先するか、絶対に譲れない条件は何なのかをよく精査しないことには、選択肢は限りなく0に近づいてしまうのです。
それから、基本的には、「安くて程度のいい人気車種の中古車」は存在しません。中古車の価格は、大昔に社会で習った「需要」と「供給」の関係がもろにあてはまっています。
そう考えると、もし自分に本当に欲しいクルマがあって、色なども譲れないなら、無理してでも「新車」を買った方が賢明だと思っています。さらに新車なら「保障」というものすごく頼りになるアイテムもあっさり手に入れることができるのですから。特に軽自動車の場合は中古車価格が下がり難いので、中途半端な価格で中途半端な程度のクルマを買うくらいなら、絶対に新車がおすすめだとワシは確信しています。下取りを考えるとほとんど差がないかというのもあります。
数年前のことですが、ワシは「エアブルー」の「Z11キューブ」が欲しくてたまりませんでした。もうこの時点で失敗は目に見えているのですが、アホなワシはちょっと離れた日産販売店でそれを見つけてしまいました。5年落ちで走行5万キロで純正ナビもついていて、内装もきれいで喫煙跡もなくて、ワシはええなあと思いました。いつものように「タイヤ」と「バッテリー」を新品に変えてもらって、車検取って、コミコミ55万円で購入しました。ワシにとって、このクルマは「当たり」で、4年間一緒に過ごして、あちこち乗り回して、それでも点検は半年ごとにきちんと日産で受けました。オイルもエレメントもCVTフリュードも車検の時に日産できちんと交換しました。
そいでもって、買ってから2回目の車検のときですか、キューブはその時は、9年目、走行88,000kmでした。これぐらいの走行距離は、現代の日本車にとってはへでもない距離ですよね。ワシはこのキューブがとても気に入っていたので、いつもの車検のときのように日産に一週間ばかりあずけて徹底整備してもらうつもりでした。そいでもって代車を借りて帰る途中に、日産から電話がありました。
概要は次の通りでした。
「CVTから異音が発生しています。もうすぐ壊れます。交換修理で30万円ぐらいかかります。どうしますか。」
「えっ。CVTって、10万キロも乗っていないのに壊れるんですか。」
「申し訳ありません。今回たまたまです。」
「保障は効かないのですか。」
「中古車なので保証は効きません。新車だったら大丈夫なのですが。」
「ガーン」
ワシは、落雷を受けたような気持になりました。そして、その時は「中古車なので仕方がないのう。廃車にするしかないんかのう。」
と悲しい気持ちになりました。
でもワシは、わずか88000KmでCVTが壊れるというのはどう考えてもおかしいと思いました。はっきり言って欠陥車だと思いました。
ワシは納得がいかなかったので、「日産」の「お客様相談室」に泣きながら電話をいれました。そうしたら、ものすごく話を聞いてくれて、ものすごく丁寧に対応してくれたのですが、最後はケンもホロロに「ダメ」と言われました。ワシ、その時に、もう日産との付き合いはやめようと思ってしまいました。ワシ、日産から30台以上の新車を買っていますが、そん時はトヨタに乗り換えちゃろうかと本気で思いました。でも義理人情で生きているワシは、そんなこともできないで、またなじみのセールスさんが親身になって心配してあちこちあたってくれたりしたので、結局日産でZ12キューブを新車で買うことになり、ますます貧乏になったのでした。
それでも気が収まらないので、ワシは某ヤホーの「知恵袋」に相談をかけました。すると、クレーマーだと言われたので
「ワシのしていることはただのクレーム」に過ぎないのかと思ってあきらめました。
長い話になってすみませんが、ようするに「新車」なら一発ですよ。一発で保証で修理してくれます。クルマは機械ですから、しかも高価な部品の集合体ですから、絶対に保証がある方がいいに決まっています。特にワシのようにぎりぎり予算でクルマを買う者にとっては、保証の有無は死活問題なのです。
もしこれが、安い中古車であったなら、すぐにあきらめがついたと思います。そういう覚悟も含めての購入です。
ワシは、そういう苦い経験の積み重ね?もあって、高い中古車を買うことはやめました。そして中古車は「足」と割り切って、極端に安いのを買うようになりました。絶対こっちの方が楽しいと自覚しました。
10万円のアルト。10万円のスターレット。13万円のミニカ。18万円のプレセア。他にもまだまだありますが、乗り回しても惜しくない。ちょっと寄り道したくなる。壊れたら自分で部品を拾ってきて直せばいい。異音とか気にしなくていい。コーヒーこぼしても笑ってさっと拭けばいい。タイヤは4本1万円の安売り国産タイヤなら十分ですし、バッテリーはナフコの1980円ので十分すぎるのです。それでも直せんかったらあきらめればいい。そんなお気軽な中古車との付き合いはとても楽しくて、ワシの活動の幅をずいぶん広げてくれたと思います。はっきり言って、その方が楽しくて、気軽にどこでも出かけられることが嬉しくて、ある意味、GTRに乗ってるよりも楽しいカーライフを送ることができたと思っています。貧乏性のワシにとって、安い中古車はかけがえのないパートナーです。人間でも何でもそうですが、気を遣わなくていいということはとても気楽で楽しいことなのです。
最後に、ワシの中古車選びの「秘技」を教えましょう。
それは「縁」と「感」です。
なんぼええ中古車があっても、「縁」がなかったら買えないと思っています。売れてしまったら、条件が合わなかったら、「縁」がなかったと思ってあきらめることです。深追いをするとロクなことになりません。これは新車のときでも同じだと思います。ワシは彼女にフラれたときもそう思うことにしています。
それからワシが最も重視しているのが「感」です。パッと見た瞬間、運転席に座った瞬間「何かおかしいのう」と違和感を感じたらやめることです。事故車の見分け方とかはワシにはわかりませんが、何かあったクルマは、何か違和感を感じるものです。人間も病気をすると立ち姿や歩き方などに影響が出てくると言われています。事故、瑕疵物件車、前オーナーの癖など、クルマにとって好ましくないことは、必ず感じることができるものだと思います。人間の感ってすごいのうと思うことは、それが誰にでもできることです。「ちょっとでも嫌な予感がしたらやめる。」クルマ以外のときも、ワシはそうやって生きてきました。
そのためにも、初めて見にいくときは、自分の心身の調子が良いときに、冷静な目で、焦らず、騒がず、惚れずに、そういう気持ちで会いに行くことが大切だと思います。
若い頃のワシは、こういうことがまったくできなかったので、何度失敗したかわかりません。事故車、メーターが巻いてあるクルマ、エアコンが臭くて死にそうだったクルマ、シートベルトに加齢臭がこびりついていてどうやっても取れなかったクルマいろいろありましたから。(泣)
でもどのクルマも、それなりに楽しかったのう。ありがとのう。
(追記)
Z11キューブを買ったのはS県の日産です、それ以降、点検、整備、車検等はすべて、付き合いのあるY県の日産Pにゆだねていました。今更ですが、よく考えると保証修理には無理があったように思います。結局ワシが悪かったんですね。
でも普通、あの距離で壊れるか?CVT。三菱なんか中古で買ったパジェロミニのATが壊れたときは無償で交換してくれたのにとかいまだに思っているしつこいワシなのです。壊れる「縁」があったんかのう。
まあいろいろなことがあるから、人生は面白いんですかね。(泣)
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