第37話 祝福

「「「おめでとー!!!」」」

「ありがとう!」

「ありがとう」

 美夜みやちゃん、千夏ちか結城ゆうき君、香南かなちゃん、香南ちゃんの彼氏さんである武田たけだ君、美夜ちゃんの彼氏さんである渡辺わたなべ君に、祝福された。

 場所は、あの場所。

「さあ、美味しいケーキを召し上がれ♪」

「「「ありがとうございまーす!!!」」」

 時生ときお君の行きつけの喫茶店・湖。

 尾沢おざわさんの粋な計らいで。

「すみません」

「良いのよ!謝らないで!めでたいんだから♪」

 尾沢さんのノリノリに感謝。

 カランコロン♪

「いらっしゃいませー!」

「やほー♪さりちゃん♪」

「あら、つぐちゃんにたちばな君まで!」

 えっ先輩!?

「ほぇ?あー!愛しのあんずちゃっ!?」

「近づかない」

 湖波こなみ先輩の制服の襟を、橘先輩がグッと掴んだ。

「なーんーでー!」

「こらこら」

 橘先輩、ナイスです!

「あんずちゃーん・・・」

「あはは、湖波先輩、お疲れ様です」

「いつ見ても可愛いわ♪」

「ありがとうございます」

「えっ素直!?」

 驚くよね、分かる。

「先輩、私、時生君と恋人になりました」

 そういえば報告まだだったので今言った。

「えー!おめでとう!」

「おめでとう」

 ありがとうございます!

「羨ましい♪」

「だから、俺が」

「振り向かない」

「グハッ!傷口が!」

 相変わらず、まだ振られてる。でもめげない鋼の心、見習います。

安藤あんどう君!あんずちゃん泣かしたら承知しないんだから!」

「肝に銘じます」

「うん、よろしい!」

 自然と先輩2人も加わり賑やかな感じになった。


 静かな時間帯。

 みんな帰ってしまい、今は時生君と私の2人だけ。

「みんな、喜んでたな」

「そうだね」

 今まで迷惑かけっぱなしだったから、余計に嬉しかったのかな。

「みんながいたから、だね」

「だな」

 私と時生君のすれ違いやら勘違いやら、いろんなことがあったけど、それがあったから今がある。

 遡ること10年の時を越えて。

「帰ろうか」

「うん!」

 会計はみんながおごってくれたので後でお返ししなきゃなぁ。

 私と時生君は尾沢さんにお礼を言って、喫茶店・湖を出た。



 手を繋いで歩いている。

 恋人っぽいことしてるー!

 はっ!恋人だから出来るのか!

 心の中でこっそり大興奮している私。

 いつも大興奮してます、お許しを。

「あんず」

「はい」

 呼ばれるだけで幸せホルモンがドバドバ出てる気がする!

「好き」

「私も好き」

 浮かれるな!でも、浮かれるううう!

 そんなこんなで、家の前。

「んじゃまたな」

「うん、またね」

 家まで送ってくれる幸せ。

 最高でーす!



 3学期はあっという間に終わり、春休みも私の感覚では、風のようにふぅ~と過ぎて、新学期を迎えた。

「クラス、同じ!」

 希望通りに文系の大学を目指すクラスに。

 教室に入ると。

「おはよう」

「おはよう、時生君!」

 あと2年間は一緒!うひゃー!


 これからも、一緒に乗り越えることも乗り越えて、1つ1つ幸せを噛み締めて。


 素敵な日々を過ごせますようにー・・・

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