第35話
奴は旋回の軌道をとったようだが、速度も速く相互の距離は一気に離れてゆく!
すぐに追いたいがそうもいかない!
敵の後続機は!?
一機が私を狙う挙動!ほか4機は僚機の方向に翼を向けている!
私を狙うその一機は、上方の僚機から見たら無防備に横腹をさらけ出した獲物だ。
そいつは、自分がいかに愚かな選択をしたのか、身をもって知ることになる。
私はそいつが、上方からダイブしてくる僚機が見えない角度となるような急旋回をかける。
弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾弾!
まだ遠い!しかし敵機は撃つ!撃つ!弾数多いな!
P40はアメリカ伝統の12.7ミリ機関砲搭載と聞いている。
口径だけ比較すれば、零戦機首の7.7ミリ機銃、翼の20ミリ機関砲の中間だが、装弾数、連射性、威力など、実際に撃たれてみて、かなり優秀な砲だと理解できる。
20ミリ機関砲が日本刀なら、アメリカの12.7ミリ機関砲は槍といえるかもしれない。
そんな考えが頭をよぎり、一抹の不安を感じた。
私は敵の射線を外しながら、僚機が狙いやすいよう敵機を誘う。
弾弾弾弾弾弾弾弾弾!
鈍鈍鈍鈍鈍鈍鈍鈍鈍!!
12.7ミリ砲の奏でに20ミリ砲の重低音が加わり、合奏は終演する!
馬脚馬脚馬脚馬脚馬脚!
P40の機体は一瞬で無数の貫通孔が穿たれ、コックピットのガラスは鮮血とともに飛び散り、太陽光が複雑に反射して一帯に美しい輝きとなって散華した!
二番機が一瞬で駆け抜けてゆく!
流石やるな!
さあ、次は奴だ!
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