第11話

{ピンポーン}

{ピンポーン}

{ピンポーン}

{ピ}「うるっせぇ!」


扉を開けるとそこにはニコニコと笑う薫が居た。何故か凄く大きい袋を持って。

みぃちゃんに会いに来て良いと俺は言ったし、来る頻度は最初の方は一か月に1回とかだったのに…今じゃ


「あ、やっと開けてくれたぁ。要遅いよ。僕早くみぃちゃんに会いたいんだけど」


この有様だ。最初の丁寧さどこに行ったんだよ。


「みぃちゃんならさっき俺と遊んで疲れて寝てまーす。今はお休み中ですー。」


俺はふっ、と勝ち誇った笑みを浮かべた


「はぁ?何それ、僕も遊びたかったんだけど。この大量のおもちゃ、どうしてくれんのさー」


そう言って薫は家へ勝手に入ってくる。


「は?もしかして薫、お前そのでけぇ袋…」


「ん?全部みぃちゃんへのプレゼントだよ~。おやつとかおもちゃとか、アクセサリーとか…。特にアクセサリーなんて全部みぃちゃんに似合いそうで凄く迷っちゃった」


こいつ…


「みぃちゃんの飼い主、一応俺なんだけど。」


「僕も一時期みぃちゃんと暮らしてたからさ、僕も飼い主みたいなものでしょ。愛してくれる飼い主が二人も居るなんて、みぃちゃんは幸せだろうなぁ?」


「…みぃちゃんが幸せなら仕方ねぇ。で、何買ってきたんだ?悪趣味なアクセサリーとかだったら絶対みぃちゃんには着けないからな」


「絶対みぃちゃんも要も気に入るよ~。じゃじゃーん。」


そう言って薫が取り出したのは真っ赤なリボン付きの首輪だった。


「よし、採用。流石第二の飼い主。みぃちゃん起きたら早速着けてやろうぜ。絶対可愛い、これは似合う」


「でしょ~?早くみぃちゃん起きないかなぁ」


そうして俺と薫はみぃちゃんが起きるのを待ちながら、みぃちゃんについて語り合った。




数時間後、みぃちゃんが起きてきた。大きく欠伸しているみぃちゃんを薫が抱き上げる


「みぃちゃん今起きたの~?今日はとっても可愛いプレゼント持ってきたからねぇ。」


寝起きのぼんやりとしているみぃちゃんに、俺はリボン付きの首輪を片手に持ち近付いた。

どうやら猫や犬はいきなり服や首輪などの装飾品を着けると嫌がる子が居るらしい

俺は少しでも怖がらせない様に、ゆっくりと首輪を着けてあげた

意外と嫌がる素振りはなく大人しく着けられていた。


「「…」」


どうしよう、うちの子めっちゃ可愛い…。可愛すぎて言葉に出来ねぇ。

隣を見ると薫も同じことを考えていたのだろう。満面の笑みで親指を立ててきた。


それからは数時間ずっと二人で撮影会だ

携帯のフォルダが満たされるまで撮った。


しばらくするとミツが来た


「え、みぃちゃんめっちゃ可愛くなってる!このリボン凄く可愛い!」


「アクセサリー着けてたら、飼い猫って直ぐに分かるでしょ。僕の時みたいなことが起こらない様に、ね」


未だに罪悪感が有るのか、薫は笑ってはいるが少しぎこちない。


「ま、今はこうやって三人でみぃちゃんの事愛でれるんだし、みぃちゃんも幸せなんじゃねぇ?」


「あ、じゃあ薫さんか要くん。みぃちゃんに聞いてみてよ、今幸せかどうか」



「「みぃちゃん、今幸せ?お返事出来るかな?」」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る