かみさま

バブみ道日丿宮組

お題:フニャフニャの神様 制限時間:15分

かみさま

 命の成約が神様には存在する。

 奇跡の力をつかえないとか、運が悪くなるとか、泳げなくなるとそんな成約。

 守らなくても特にこれといって悪いところがないのが特徴だ。

 そんな存在だから、世界各地でアイドルのように扱われる。平和の象徴にもなるし、犯罪の抑止にもなる(神様の力で悪に該当する行為ができない)。

 まさにいいことづくしであった。

 ただ……問題があるとすれば、

「そろそろ自立してくれてもいいじゃないか」

 母親としての役割が下手くそである。

「わたしがやらなくてもほら他の人がやってくれるでしょ?」

「まぁ……執事はいるけど、彼らの寿命は永遠じゃなく失われるものだ」

 人間と神様のハーフでわる俺は微妙なところ。犯罪の抑止があるくらいで他は中途半端。夜20時には睡魔が必ず襲ってくるとか、朝食に必ず卵をとらないとお腹が空くとか。

 他のハーフはこんなことはない。

 原因として考えられるのは、うちの母がフニャフニャした自立できない神様だからだろう。

「そうね。あなたのパパも早くに死んじゃった」

「いやいや生きてる。生きてるから!」

 仕事が忙しくてめったに帰ってこないけどさ!

「こんな可愛い嫁をほったらかしって仕事ばかりなんてママは悲しいわ」

「生計を立てるってのはそういうことなんだよ」

 なんでという顔をされた。

 その表情を否定できる要素が俺にはない。

 神様は成約はあるが施しは受ける。つまり貧乏にはならない。遊んで暮らせるわけじゃないが生活できる暮らしは保証されてる。

 なら、働くということはあくまでも個人としてやりたいことをやるーーつまりほったらかしにして趣味を貫くとも言える。

 だから俺には否定できない。生計を立てることと言うことはできるが、父さんが働く意味はない。家にいて母さんとキャッキャウフフしてても誰も文句はいわない。

 神様と夫婦になるものは必ず神様を幸せにしないといけない成約を結ばなければならない。したがって父さんが死なないのは母さんがなんだかんだいって幸せを感じてることになる。

「今度の休みにパパは帰ってくる。その時また旅行にいくわ」

 母さんはぽつりとつぶやく。

「妹たちの世話は」

「お願いね」

 ため息しかでなかった。

 ほったらかしにされてるのは子供も同じ。

 けれど、そんな妹たちはそれでも母さんを愛してる。俺が知らないところで母さんは母さんをしてるということ。全く俺のことは構ってくれないのにな。

「じゃぁ今日の晩ごはんはママが作るから眠るわね」

 数秒後にはすやすやと寝息をかいてた。

「……」

 大体寝てるんじゃないかと思うくらいよく眠る母さんは、料理だけは天下一品だと思う。

 その天下一品のために食材を買ってこようと、妹の部屋へと俺は足を進ませた。

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かみさま バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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