グリムノーツ Anecdote

霧葉

第1章 二人の旅人

プロローグ ある旅人の自問

 私たちの運命は、一冊の本に記されています。

 生まれたときから与えられる一冊の書物『運命の書』。

 その記述に従い、ひとびとはその世界の英雄やプリンセス、盗賊や魔女として生き、そして死んでいきます。


 誰もが与えられた運命に従い、疑問ももたず、逃れることもできません。

 ごく一部の例外、そして『空白の書』の持ち主を除いて。




 私たちはそんな世界で旅をします。

 この世界で運命をもたない私たちは、運命に従うひとびとを見て、何を思うのでしょうか?

 運命に抗うひとびとの声に、何を感じるのでしょうか?

 この世界のひとびとのために、何ができるのでしょうか?


 ……何か、できるのでしょうか?

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