激動編3 箱館

ここからでも楽しんでいただけますように…『成長編』~『激動編・会津』までのあらすじ

《ここまで『東の君や永遠に守らむ』を閲覧してくださった皆様、ありがとうございます。未熟なため、安定して投稿できず、一話あたりの文字数も一定せず、大変申し訳ございません。拙作も55話を越えることになりました。『どんな話だったっけ?』という方や前の方を読むのは面倒くさい、という方のため、今までのあらすじを掲載いたします。ちょっとしたブレイクタイムとしてご活用ください》



今までのあらすじ


 新選組副長、土方歳三には、呉服屋に奉公していた頃、わずかの間一緒に暮らした『うめ』という女性がいた。歳三とうめは歳三の故郷、石田村で祝言を上げるつもりだったが、歳三の家族の反対にあい、うめは姿を消した。そのとき、うめの腹には子が宿っていたが、歳三がどんなに探しても、その消息はつかめなかった。


 それから十数年後、新選組に一人の少年が入隊志願に訪れた。その少年こそ、歳三とうめの子であり、うめが男児として育てた娘、りょうであった。りょうは6才で母に死に別れ、母の遺言に従い、日野に行った。最初は歳三を母の仇だと言っていたりょうであったが、病で担ぎ込まれた先の医師、玉置良庵や、日野の名主、佐藤彦五郎に育てられ、父を仇ではなく、越えるべき存在として見るようになった。日野でりょうに剣術を教えたのは、当時試衛館から出稽古に来ていた沖田総司で、りょうは沖田の弟子となった。


 新選組で歳三のもと、りょうは玉置良蔵たまおきりょうぞうと名乗り、小姓として働いた。また、日野で玉置良庵から医術を習っていたため、山崎丞に認められ、新選組の医療をまかされた。ある時、歳三が、芹沢鴨粛清の折りに母と同じ名の女性を斬殺したことをりょうが知り、歳三に猛抗議し、その逆鱗に触れ斬られそうになった。沖田が間一髪でりょうを助けたが、この事件により、歳三は、りょうが死んだと聞いていた自分の娘だと知った。戊辰戦争が始まり、りょうが病の重くなった沖田の看病をしながら江戸で暮らす中で、新選組の分離、崩壊や、局長、近藤勇の斬首があった。慶応4年5月末に沖田が亡くなると、りょうは歳三を追って会津に向かった。


 会津において、りょうは母が先々代の藩主のご落胤であったことを知った。同世代の西郷細布たえや、白虎隊の少年たちと交わるうち、会津への思慕が募っていった。西郷家の自刃の場で、りょうはひとりの薩摩藩士と再会した。その男は中村半次郎といい、かつて一度、新政府軍が、残党狩りのために千駄ヶ谷に沖田を捕縛に来たとき、出会っていた。中村のほうは、御陵衛士から、りょうが『土方の泣き所(弱点)』だと聞き、興味を持っていたが、残党狩りの折、必死で沖田をかばうりょうに、ただの興味とは別のものを感じるようになった。西郷家でりょうと再会した中村は、りょうが土佐藩に追われているのを知り、思わず助けてしまったのだった。


 たえや白虎隊が会津の為に死んでいったことで、りょうは自分も会津を守りたいと、歳三と別れることを決意した。斎藤はじめ(山口二郎)たち、一部の隊士も会津残留を選択し、斎藤は、

「道は違っても、みな『誠』の心をもっていることは変わらない」

と主張した。歳三と別れたりょうに、

「お前の『誠』が真実なら、必ず土方さんは待っていてくれる。お前は自分のするべきことをしろ」

と説き、りょうを若松城に送り、自らは戦線に戻った。りょうは若松城でけが人の治療にあたり、会津戦争の終結を迎えた。若松城に残っていた16才以上の男子は謹慎を言い渡されたが、りょうは年を変えられ、放免された。りょうを放免したのは、若松城受け取りの責任者、中村半次郎であった。


 自らの意に反する裁定に不服をとなえるりょうであったが、会津で出会った高木時尾や山本八重に諭され、仙台に向かった歳三を追った。籠城とけが人の治療で体調を崩していたりょうは、山越えの寒さに体調をさらに悪化させていた。ついに、りょうは雪の峠で倒れてしまったが、あとを追ってきた中村によって助けられた。そして中村は、自分がりょうに、特別な思いを抱いていることを自覚した。りょうの目的を知る中村は、新政府の軍監という立場を捨てる覚悟で、りょうを歳三のもとに送り届けようと仙台に急いだ。仙台についてすぐ、中村が狙撃され、りょうはその治療にあたった。その結果、折浜おりのはまの港で、りょうは歳三の船に追いつくことができなかった。泣き崩れるりょうに、中村は、もしも新選組を捨てられるなら、自分と一緒に薩摩に来ないか、と誘った。


 中村の優しさに触れ、心が揺れるりょうであったが、自分は、まだ歳三を追うことを諦めたくない、と、中村の申し出を断った。そして、二人は別れ、りょうは横浜に向かった。横浜の近くの神奈川宿はりょうの生まれた地であり、母の菩提寺があった。りょうは、始まりの地に戻ることで、気持ちを切り替えて、いつか蝦夷に行く決意をした。



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