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「いーや?ホント。下見る?らぶほでも行っちゃう?」




くすくす、笑っている佐藤は、それでも冗談かと思わせるような言い方を曲げない。




「佐藤と行くわけない」




ずっと女友達だと思ってたし――佐藤は特に鞠と仲が良かったはずで、私なんておまけ枠だったはずじゃないか。


そんな佐藤がなんで私に、男……なんて、打ち明けたのか。




そもそも、そうだとしたらなんで女装なんて、ギャルになんてなりきっているのか。


蜜っていう名前だって……。




「和香はー、別の男とならそゆとこ行くってこと?」


「……しらない、行ったことない」


「ふうん。そうなの、ふうん」




やけに嬉しそうなのは、そういう経験のない私を笑っているということなんだろうか。


ギャルだもんな、遊んでてもおかしくなさそう……だいぶ偏見だけれど。




「佐藤は……なんでそんな話、私にしたの。他の二人にも話したの?」




じとっとした目で佐藤を見るけれど、そのくるくると巻かれている赤色の髪の毛を退屈そうにいじっている。


しぐさがもう、女子。


というかその髪の毛もどうなってんの、本物なの?




「みどりんとマリリンには話してないよー。和香だけぇ」


「なんで私」

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