幼馴染

私はその日教授に早く帰るように言われ、美紗の家へと急いだ。


小さい頃通い慣れた道を、懐かしむ事も出来なかった。


家に到着すると、使用人が出て来て、私に怪訝な顔を向けたが、

名を名乗れば美紗の母がやって来て美紗の部屋へと通してくれた。


その日は、父親は留守であったらしい。


床に伏して白い顔を一層青白くしている美紗と、

上品な姿勢で心配そうに椅子に座って見つめる母親の姿だけがあった。


母親が優しく美紗の肩を揺すると、私に気付いた美紗が驚いた後に嬉しそうに笑った。


痩せた体を必死に起こそうとして母親に止められている。


私は、

「このまま話そう。」

と言い、美紗が聞き、話したがるままに数々の話をした。


子供の頃の話し、会えなかった間の学生生活の話、女学生達の笑い話。




私達が話している間、美紗の母は席を外しており、私達は夜になるまで話し続けた。

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