離れ離れの青春

美紗は当然のように良家のご令嬢の通う女学校へと、私は男子中学校へと進学し、

時々見る事があってもすれ違う事があっても一言二言交わす程度だ。


私達はいつも互いに学生仲間に囲まれており、また、異性の学生と話すというのは格好の冷やかしの的である。


私もまた、学生仲間に美紗の紹介を強請られるのも嫌で、ちょっとした知り合い程度に留めていた。


子供の頃の遊び仲間達は高校に上がる頃にはほとんど家業を継いでいったが、

私は何とか奨学金を勝ち取り、両親へ頭を下げて高等学校へと進学した。


私は役人になって出世したいという思いがあった事と、

ひっそりと美紗の家に縁談を申し込もうという下心も隠していた。


明確な身分等ないが、学のない男など美紗の家に縁談を申し込めば門前払いを受けるだろうと思ったのだ。

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