正体

散々遊びまわったので皆疲れたのか、一緒に帰るよう誘われたが、やはり桃色の物の正体が気になる。


私はちょっと落とし物をしたかもしれないからと皆に先に帰ってもらった。


私は反対岸に渡り、桃色の物が見えた位置を探してうろうろとした。


(確かこのススキの群れの中から見えたはずだ・・・。)


ススキの高群の中に目を凝らすと、桃色の着物を着た女の子が見えた。


「何してるのこんなところで?」


声を掛けて見ると、女の子が驚いたようにピクリと跳ねた。


「ちゃん・・・見てた。」


小さく細い声だったのでよく聞き取れなかったが、チャンバラを見てたといったらしい。




蹲って下を見つめている彼女の頭に赤い紐飾りが蝶々のように揺れていた。


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