第42話 日本語教育

ベトナム人は勉強熱心である。

特に日本に対する関心が強く、社内で開催される日本語教室には立ち見が出るほど盛況になる。

日本語を教える先生は勿論日本人スタッフである。

数人が当番制で教えるのだが、説明などすべて日本語だけなので、果たしてどれだけ理解しているのか心配な時もある。


今日の先生は平沢君である。

「いいがぁ? きょうは五十音の はずおん おしぇっからな」

「は~い」

全員返事は良い。

「オレの言う通り はずおんすろな あ・い・う・え・お  はいロイ君」

「あ~・い~・う~・え~・お~」

「おぉ んまいで~ んだら つぎ か・き・く・け・こ はいフィ君」

「きゃ~・きゅ~・き~・け~・こ~」

「んねずぅ はずおん われなぁ...」


この教室で教えているのは、日本語ではなく山形弁であることに気づく人は果たして何人居るだろうか...

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