#27 リョウ来来


この日は、ナルシス山川は自宅謹慎で学校に来ていなかった。

ウルフ吉川も来ていなかった。理由は体調不良と担任は言っていた。


二人が居ないお蔭か、教室の空気は久しぶりに落ち着きを取り戻しているように感じる。



昨日の暴力事件の正式な処分が出るということで、当事者であるタローくんは休憩時間に職員室に行って色々聞いてきたみたいだけど、私たちには詳しいことは「後で話す」と言って教えてくれなかった。


あと、アキちゃんには「新田のことで色々協力してもらった人が居るから、そいつらに会ったら一言言ってくれると助かる」と話してた。




昼休憩、いつもの空き教室でそんな話をしながらお弁当食べてたら、この日も来客があった。


この学校では超有名人の花森リョウ先輩。

学内屈指の超美人、スタイルもモデルみたいに背が高くてすらっとしてて憧れてる女子とかいっぱい。そんな3年の花森先輩が何でここに!?とビックリしたよ。


「あー居た居た、タローやっほ~」

(タローくんのこと呼び捨て!?凄く親しげだしどういう関係!?)


「リョウパイセンちっす!日曜ありがとうございました、助かりました」


「気にしなくていいよ~」


「あ、この子が噂の新田っす。新田、噂の火消しに協力してもらったリョウパイセンね」


「あ、ありがとうございました!」

いきなり有名人の登場で緊張しつつもお礼を言うアキちゃん。


「いいよいいよ~大変だったね~って、それよりタローに聞きたいことあって来たんだけどー?」

(花森先輩、なんか緊張感無いホンワカした人なのかな・・・?)


「え?なんすか?」


「タローあんた、カノジョ出来たって聞いたんだけど、私に報告は?」

(あれ?急に雰囲気かわった・・・? 目笑ってないし・・・)


「いや、そのー・・・自分からカノジョ出来たっていうの、恥ずかしいというかイタイというか・・・ごにょごにょ」


「は?聞こえないんだけど?」

因みにココまで私は空気。


「ハイ!サーセンした!この子がカノジョの真田マリって言います!報告遅れてサーセンした!」

その場で立ち上がってビシっと直立の姿勢で勢いよく謝罪するタローくん。


突然振られて焦る私。

そして花森先輩の視線が私に突き刺さる。圧が半端ない。 

(こ、こえ~・・・急に振るなよタローくん・・・)


「あ、あの、初めまして真田マリって言います!タローくんがいつもお世話になってます!」

私もその場で立ち上がってビシっと直立の姿勢で自己紹介・・・・

(なんだ、この体育会系やり取り)


「花森リョウって言います☆よろしくね~、ってこんなに可愛い子がカノジョってタローのクセに生意気。タロー、オッパイか?オッパイだろ?」


「ハイそうです!あ、イエチガイマス!」


「女の子二人、これからもよろしくね~、なんか困ったことあったら何でもいってね☆ タローは今度お仕置きな」


最後のだけドス聞かせてそう言い残し、花森先輩は去って行った。

(そっかーオッパイかぁーって、私からもお仕置きが必要だね!)


緊張感から解放されて、脱力してその場にへたり込む3人。

手汗が凄いよ。


花森先輩は、タローくんの中学からの先輩で、佐伯くん同様中1からの付き合いらしい。

タローくん曰く「タロー'sコネクションのジャイアン。三国志で例えると張遼」

ジャイアンってのは何となく解った。




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