#23 タロー無双の始まり



次の日、月曜日。


朝、いつものようにタローくんが私の家まで迎えに来てくれて、一緒に登校。


今日のこと心配だったからタローくんに聞くと

「とりあえず、新田に絡んでくる奴居たら、退場してもらう」とのこと。

『どうやって?』って具体的なこと聞こうとしたら

「ひ・み・chu☆」とか言って、朝からキモいキス顔してた。


アキちゃんは家が反対方向だから、学校の近くのコンビニで待ち合わせて、そこから一緒に登校した。


3人で一緒に教室に行くと、早速ジャス山がアキちゃんに絡んできた。

多分、アキちゃんへの攻撃が昨日の夜封じられて、痺れ切らしたウルフ吉川がまたジャス山そそのかしたんだろうけど、今回はアキちゃんも負けてなかった。


「おい新田、まだ吉川さんに嫌がらせしてるらしいな、いい加減にしろよ!」


「はぁ?何言ってるの?そんなつまんないことする訳ないでしょ」


「とぼけてんじゃねーぞ!吉川さん泣かせてタダで済むと思うなよ!」


「ウッザ。口臭いから話しかけないでくれる?」


「テメ!女だからってチョーシのんなよ!」


ここでジャス山がアキちゃんに掴みかかろうとして、間にタローくんが割って入った。








ここから、タローくんのターン。

タロー無双が始まった。



「山川こそいい加減にしろよ。お前、大好きな吉川の前だからってイキってんじゃねーよ。正義漢ぶって自分のこと格好イイって思ってるぽいけど、ぶっちゃけ吉川の嘘に簡単に騙されてるただのマヌケだからなお前。チョロすぎてウケるんですけドー、マジヤバイんですけドー、口臭いんですけドー。あとお前、自分のことイケメンだと思ってるだろ?全然イケてないからなお前の顔面。色気付いてマユゲいじってるけどその前に伸びた鼻毛切れよ。鼻毛出てるのにナルシストって、ちょーウケるんですけドー。ナルシス山川って呼んでやろーか?おい、きーてんのか?ナルシス山川~ ウギャぁ!」


タローくん煽り過ぎて、キレたジャス山改めナルシス山川に顔面パンチされて吹っ飛んだ。


慌てて駆け寄って『ちょ、大丈夫!?』って声かけたんだけど、そのタイミングで担任が来て「お前らなにやってんだ!」って怒鳴って、これで一旦治まるかと思ったら、タローくんが光の速さで担任に駆け寄り、

「せんせ~、山川が新田さんに殴りかかろうとしたから止めたら、山川に殴られました~!おやじにもぶたれたこと無いのに~!僕何も悪いことしてないのに~!歯が折れたかも~!エ~ン痛いよ~!」って嘘泣きしながらナルシス山川指さしてチクってた。


そしたら担任が「山川とタロー、今から職員室に来い!」って言って二人を連行していった。


教室から出ていく時、ナルシス山川は真っ赤な顔でプルプルしてたんだけど、タローくんはいつもの悪人顔で嬉しそうにコッチ向いて親指立ててウインクしてた。

でも鼻血垂らしてたせいで全然キマってなかった。


とりあえず私は『はよ行け!』ってジェスチャーで返しといた。

うん、彼女としてケガの心配したいところだけど、鼻血のキメ顔が面白すぎて、笑うのこらえるのに必死で心配する余裕なかったんです。ゴメン。

いや、アキちゃんも笑ってたからね!




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