#17 止まない追撃
教室では相変わらずハブられていたけど、睨まれたりあからさまに舌打ちされるようなことは無くなり、一人で過ごすのに慣れていった。
だから油断していた。
もうみんな私の嘘の噂になんて興味無くなったんだろうと。
ある日、登校すると朝から何となく周りから見られている気がした。
廊下や教室で、ニヤニヤした男子から何とも言えない視線を感じた。
気持ちが少しゾワゾワしていたが、その正体が解らないまま自分の席に着いた。
バックから教科書とノートを取り出し、机にしまおうとしたら机の中で手に何かが触れた。
なんだろ?と思いそのまま取り出してみると、開封されたコンドームだった。
コンドームだと気が付いて動揺して固まっていると、周りからクスクス笑い声が聞こえた。
途端に吐き気がして、トイレに駆け込んだ。
また何かが始まったのだと思った。
手を何度も何度も洗った。
鏡に映る自分を見たら酷い顔をしていた。
涙がこぼれそうになるのを必死にこらえて、大森タローの言葉を何度も頭の中で繰り返した。
「平気じゃないけど平気なフリするしかないじゃん」
この言葉に勇気を貰えた気がした。
鏡を見て無理矢理表情を作って教室に戻った。
コンドームは既に誰かの手によって片付けられていたが、机の中に手を入れるのが怖くて教科書とかはバックに入れたままにした。
無表情を作ったまま昼休憩まではなんとか耐えた。
昼休憩中は教室に居たくなくて非常階段に避難した。
非常階段で一人でへたり込んでいると、スマホの通知がなった。
メールの通知だったので無視しようとしたら何通も送られてきて鳴り止まなくなった。
何事かと1つ開いてみて愕然とした。
「セックス好きなんだって?3Pとか興味ある?」
他のメールも開いてみた。
「フ○ラテク凄いんだって?お願いしたいんだけどいつならヘーキ?」
「生OKってマジ?」
「今度ウチに遊びにいっていい?親とか居ない日わかる?」
その場で吐いた。
もうダメだと思った。
涙が止まらなくなった。
思わず『なんで・・・』と声が出た。
その時扉が開いて誰かが階段を上がってくる音がした。
恐怖で体が震えてその場を動けずに居たら
現れたのは大森タローだった。
「おー、やっと見つけたぁ~新田はっけ~ん」
「大丈夫か?ちょっと待ってろ、いまサナマリ呼ぶから」
そう言って自分のハンカチを私に差し出し、スマホで電話し始めた。
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細々と毎日更新しています。
この話が投稿される時点で7/8までの分を更新予約済です。
平日17時、土日10時に更新されます。
まだまだ続きますので、引き続きよろしくお願いします。
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