#13 断罪、からの



一晩たって翌日になってもLINEではクラスメイトたちからの「大森タローはクズ」「大森タローを許さない」と彼に対する悪意に溢れていた。


ただ、肝心の大森タローはスマホを持っておらず、このクラスメイトたちからの怒りのメッセージは彼に1つも届いていなかった。


彼は学校でもコソコソと逃げ回り、カオリに謝罪するどころか反省の色が見られず、その態度が益々私たちクラスメイトの怒りに油を注いだ。


放課後、怒りが頂点に達した私は大森タローを断罪すべく彼を捕まえた。

『逃げるな!』



カオリの言葉を信じ切っていた私は、自分の正義を疑わす彼を攻め立てた。


『カオリに謝れ!』


しかし私たちがどんなに彼を攻め立てても彼は動じなかった。

大勢に囲まれているにも関わらず、怖がるどころか堂々とした態度でカオリをジッと見つめていた。


見つめらているカオリは怯えるし、そんな彼の態度が余計腹立たしくなり

『いい加減にしろ!カオリがこわがっているでしょ!』と私は叫んだ。


それが切欠のように、今まで沈黙していた大森タローが語り出す。


「吉川さんは俺に謝ってほしいの?俺、吉川さんに謝らないといけない様なことしたっけ?全く心当たり無いんだけど。俺、何に対して謝らないといけないの?解らないから教えてくれる?あ、新田とか他の連中には聞いてないから。部外者黙ってて。二人の問題なのにお前らに説明する必要も謝る必要も全くないよな?」


何をいってるんだ彼は。


自分がしたことがまるで分っていないかのような発言に思わずまた怒鳴りたくなったが、名指しで部外者と言われ、言葉にすることが出来なかった。


問われているカオリが何も答えない為、沈黙が続く中、彼が再び語りだした。


「俺、初めて彼女出来て周りに騒がれるのなれてないから、あまり言いふらさないでねってお願いしただけだよね?俺のお願い、そんなに嫌だった?女泣かせるクズ呼ばわりされるくらい酷いお願いだった?ねぇ黙ってないで教えてよ。今、俺一方的に悪者されてるんだよ。訳が分かんないから説明してよ」


んんん?

お願い?

怒って怒鳴ったんでしょ?

お願いされたなんて話、カオリは一言も言ってなかった。


何かおかしい、と思いカオリへ視線を向けると、一瞬目が合ったと思ったら、顔を伏せて泣き出した。

カオリが泣いて鼻をススる音が響き、周りの子たちがカオリに声を掛ける。


そんな状況の中、大森タローが突然声を張り上げた。


「告白してもらってOKしたけど、やっぱ取り消します!付き合うの無理でした!」


そう言い残し、彼は教室を飛び出した。



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