2章 二人目の犠牲者

#11 新田アキの独白


吉川カオリとは中学からの付き合いだった。

同じ高校に入ったが1年の時は別のクラスだった。

それでも学校で顔合わせるとよくお喋りしたり、放課後一緒に買い物に行ったりしていた。


高2で同じクラスになってからはいつも一緒に居て、何でも話せる親友だと思ってた。


そんなカオリから「同じクラスの大森タローくんのことが気になる」と相談された。


大森タローと特に仲が良い訳ではなかったけど、話しやすい面白い男の子という印象だった。

大森タローとは席が隣ということもあって雑談くらいは普段からしていたので、カオリに協力しようとカオリを連れて大森タローに話しかけたりもした。


カオリと大森タローとの仲はあまり進展していなかったが、ある日カオリが「タローくんに告白する!」と宣言した。

早速放課後に呼び出して告白するというので『頑張れ!』と応援して、先に下校した。



その日の夕方、カオリからLINEを通じて「付き合うことになったよ!」と報告を貰った。

応援していた親友の恋が成就したことが純粋に嬉しくて、すぐに『おめでとー!』とお祝いのメッセージを返した。


カオリはよっぽど嬉しかったのか、クラスのグループチャットでも報告し始めた。


「タローくんに告白されて付き合うことになったんだー」

「タローくんが、わたしのこと可愛いって言ってくれたんだよー」

「タローくん、照れた顔が可愛いんだよー」

「タローくん、家反対方向なのに、私のお家まで送ってくれたんだよー」

「今度タローくんとデートの約束したんだー」

タローくんが、タローくんが、とちょっと浮かれすぎでは?と眉をひそめたくなるほどカオリによるタローくん情報が溢れだしていた。




この時に彼女の異常性に気が付いていれば、あんな事にはならなかったのではないかと、今は後悔するばかり。




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