最後の仕事

本当はすぐに埋めてやりたいが、今日は最後の大工仕事がある。


今回で最後の家が完成するのだ。


ここではけちゃ棟梁に悪いのももちろんだが、自分の仕事の仕上がりをこの目で確認したいのも確かだった。


どうしてか男は老婆におっかぁと言いたくなって、


「仕事を終えたら直ぐに帰って来てやるからなおっかぁ。」


と言って、老婆の体が傷つかないように包丁を手拭で厚く巻いて、老婆の胸に置いてやった。



今日は走って行かないと仕事が遅れるかもしれねぇと男は急いで駆けて行った。

 

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