急な訪問者

寝落ちてからしばらく経った頃、厨の方からガタガタと音がして男は目を覚ました。


どうやら随分と時が経ったらしい。こんなところに入ってくるような奴だ。


金目当てではないだろうとは思うが、いよいよ天寿を全うしようとしているのに、強盗に惨殺されるのは哀れだ。


そう思って婆ぁを連れて逃げられるように抱えようとしたが、そこには誰もいなかった。


いつの間にかどこかに転げちまったんだろうか。


一人で寝転がれるとはずいぶんと回復したんだろう。


手探りで婆ぁを探していると、人影がぐっと近づいてきた。


よくよく見れば、厨から入って来たのが件の婆ぁだと解った。


婆ぁは穏やかな顔をしてこちらにゆっくりとした動作で腰を下ろす。




どうにもこの暗闇の中、婆ぁが白く光っているような気がする。

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