飯作り

米をぐつぐつ煮ていると、いい匂いがして来て、腹が減って鼻歌を歌いたくなっちまう。


鍋の蓋を少しばかり開けて覗き込むと、大きな匙で米と煮汁をちょいとばかりすくってみた、

米をちょいとつまむとどうやらひび割れている分、水の通りが早いらしくもう芯がなくなっていた。


男は米の飯のおこげが大好物だったが、米が食えるだけ満足として、

炒ろうと思っていた大根とくたびれた山菜を入れて煮溶かすことにした。


元は婆ぁへの餞別だ。


どろっとした重湯位くわしてもいいだろう。


ならせっかくのお味噌さんだ少しくらい使わしてもらって・・・。


味は落ちるが今味噌を溶かして、野菜に火が通るまでに婆ぁに重湯をくわしてやるか。


さっきの水を飲ませた椀に、味噌を溶かした重湯を入れて、男はご機嫌に老婆の元へ向かった。

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