入厨 ‐いりくりや‐

天野 帝釈

雨宿探し

どうにもこうにも雨が多く、稼ぎも碌にありゃしない嫌な日の事だった。


人の多い町の方で、金回りが悪くなったらしく、泥棒稼業の儲けが少なくなっちまった。


そんなもんで、たまにゃちょいと遠いとこで何かお宝でも見つからねぇかと軽く考えたのが悪かったらしい。


町からちょいと離れちまうと、やっぱり散々で、吹いたら壊れちまいそうな家ばかり建っている。


あぁ、着回しの一着がもうずぶ濡れだ。


どうせ着替えの方もこれじゃぁダメだろう。


野宿しようと思っていたが、この雨じゃあこりゃ眠れやせんと、






男はぽつんと海沿いに建った一件、人気の無いボロ屋を見つけて入って行った。

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